海辺の街で繊細な"兄"と天真爛漫な"弟"と

大豆とがんもを迎えられた清水さん

ペットのおうち®︎ で大豆とがんもに出会った清水さん。保護犬を家族として迎え入れたストーリーをおうかがいしてきました。※年齢や情報は取材時。

取材・文 金子志緒 撮影 田尻光久

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左から清水千恵美さん、英次さん、大豆(オス・6歳)、がんも(オス・2歳)

殺処分頭数が多い出身地から1頭目を迎え入れる

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ペットのおうち®︎ で2頭に出会ったそうですね。迎え入れるきっかけをうかがえますか?

千恵美さん 6年前に海の近くの家に引っ越したことが転機になりました。もともと猫のピノと暮らしていましたが、近所のみなさんが犬と楽しそうに過ごしているのを見て、私たちも犬を迎えれば一緒に海を散歩したりできるかなと思いました。
私の実家がある香川県は犬の殺処分頭数が全国ワーストに挙がるほど多くて、地元から1頭でも犬を引き取りたいという気持ちもあったんです。ペットのおうち®︎ から問い合わせた保護主さんのおかげで、野犬の子犬を迎え入れることにしました。

英次さん 妻は「会いに行くだけだから」とか言っていたけれど、気づいたら引き取る方向に(笑)。会うだけでそのまま解散することはないだろうなと予想はしていましたけどね。

千恵美さん 私は予想外でした(笑)。でもブルブル震えていた大豆が、私のにおいを嗅いだ瞬間、しっぽをピーンと上げてうれしそうにあいさつしてくれたんです。うちに来ることを決めていたんだと思いませんか?

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お二人の思惑が一致したわけですね。大豆が来てから生活に変化はありましたか?

英次さん 大豆と散歩に行くようになったおかげで地域に知り合いが増えました。大豆は犬とのコミュニケーション能力が抜群だから会った犬とすぐ仲良くなれて、私たちも飼い主さんたちと自然に会話をするようになったんです。

千恵美さん 私たちと同じように ペットのおうち®︎ から保護犬を迎え入れた里親さんとも知り合えたのはうれしかったですね。猫もかわいいけれど散歩には行けないし、猫の集会に人間が参加するわけにはいかないし、大豆が来てくれてよかったですね。でも大豆はピノと一緒に育ったせいか、猫みたいによく毛づくろいをするんですよ。

英次さん ピノは「放っておいて」という態度でしたが、気づいたら大豆の隣に座ってひなたぼっこをするような、つかず離れずの距離感で受け入れていました。

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初めての犬との暮らしにとまどったことがあれば教えてください。

英次さん 家族以外の人間や車、外の環境を怖がること。特に住宅街は不意に自転車が通ったり物音がしたりするから怖いみたいで、海まで歩いて行ける距離なのに4年前から車で送迎するなどして連れ出す毎日でした。

千恵美さん 自分で世話をする初めての愛犬だからわからないことだらけ。怖くて逃げるためにリードを引っ張る大豆に対して、興奮してリードを引っ張るときのしつけ方をしてしまったり......。犬と暮らすには人間に知識が必要だと思って、ドッグビヘイビアリスト(犬の行動を修正する専門家)のセミナーに通い始めました。

つらい環境でも明るく育った2頭目との出会い

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半年前に2頭目にラブラドール・レトリーバーのがんもを迎えていますね。

千恵美さん 頼りにしていたピノが亡くなってしまい、大豆がひとりでは心細いのではないかと思ったからです。繊細で怖がりの大豆とは対極の子が来たら、影響されて変わるんじゃないかなという期待もありました。天真爛漫な傾向があらかじめわかっているラブラドール・レトリーバーを ペットのおうち®︎ で探したら、広島県で保護されたがんもを見つけたんです。
保護主のドッグトレーナーさんは、自分がサポートできるエリア内で里親を募集していたので、神奈川県に住むわが家は遠すぎて一度はお断りに。でも保護主さんがドッグビヘイビアリストの門下生という縁もあって、イレギュラーでトライアルを受けられました。

ご家族の熱意が通じたのかもしれません。犬たちの相性はどうでしたか?

英次さん 大豆を連れて広島県まで迎えに行きました。大豆が慣れない場所を怖がって相性を見るどころではありませんでしたが、仲良くできなかった犬はほとんどいないので大丈夫かなと。

千恵美さん 手続きを終えて車のドアを開けた瞬間、がんもはうれしそうに飛び乗ったんですよ。保護主さんと感動の別れをする間もなく(笑)。願っていたとおりの天真爛漫なタイプで、大豆と気が合いそうだと思いました。

英次さん 帰宅したときもがんもはすぐ入ろうとしたので、「え?」と思った大豆が通せんぼみたいなことをしていましたね。

千恵美さん がんもはお構いなしで、ずんずん家に入っていきましたけれど(笑)。大豆も負けずにワンプロ(犬同士のプロレスごっこ)を仕掛けたり、ペロペロと毛づくろいをしたり、兄弟みたいにすぐ仲良くなりました。遊び方は激しいのに今までけんかになったことは一度もないんですよ。

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相性はぴったりでしたね! ご家族が期待した大豆の変化はあったのでしょうか。

千恵美さん 陽気で動じないがんもから、大らかさを学んでいると思います。たとえば大豆は肉で包んでも薬を口にしなかったのに、がんもがパクッと食べるのを見てから食べるようになりました。

英次さん 外でバイクなどの音が聞こえるたびに逐一ベランダに出て確認し、落ち着けない日も多かったんです。でもよく寝るがんもに影響されて、大豆も休めるようになりました。がんもが来てからは、海まで歩いて行かれるようになったんですよ。

逆にがんもにも良い影響が出ています。1歳半まで狭いケージで飼われていたこともあって、後ろ足の筋肉が極端に少なく、アンバランスな体形でしたが、最近になって後ろ足だけで立って甘えてきたり、少しだけ座る姿勢もましになってきました。海辺で大豆と走ったり遊んだりするのが筋トレになったんじゃないかと思います。

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海辺で使っていたロングリードは、2頭が運動するのにちょうどいいですね。

千恵美さん 1本につき6時間くらいかけて編んだ自作です(笑)。いろいろなロングリードを試しましたが、海辺だからすぐ濡れて重くなってしまうのが悩みでした。リードに砂がつくとヤスリのようになるから擦れて危なくて。パラコードを3本使って編んだら、濡れても軽いし砂もつきにくいロングリードになりました。

筋トレと脳トレで愛犬たちの素質を伸ばす

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そういえば大豆が取材スタッフを怖がりませんね。トレーニングの成果が出ているように見えます。

英次さん ドッグビヘイビアリストの方に、5か月前から訪問トレーニングを頼んでいます。外でおやつを食べられるようになってから目に見えて行動が変わりました! 前は私の膝がポキッと鳴るだけでビクッとしていたのに(笑)。

千恵美さん 大豆が好きな食べ物を探して、やっとたどり着いたのが茹でた鶏軟骨。外でおやつを食べるだけですが、成功体験が自信になるみたいで、スタッフさんの前でもしっぽを上げているし、道端でにおい嗅ぎをしたり、通ったことがない道に行ったりする意欲も出るようになりました。

がんもにはどのようなトレーニングを行っていますか?

千恵美さん 大豆みたいに自分で考える力を身につけてくれたらいいなと思って、知育玩具(中に食べ物を入れるおもちゃ)を取り入れました。パワーがあるから最初は破壊しておやつを取り出そうとしていたけれど、だんだん攻略がうまくなってきました。子犬のころからケージの中で大半の時間を過ごしていたから、頭を使う機会があまりなかったと思うんです。

英次さん がんもは自分の大きさや動作をわかっていない節があって、本人は全く気にしてない様子ですが、方向転換するときによく壁に頭や足をぶつけています。ノズル型の給水器の水しか飲んでこなかったので、水入れの器から飲むのもまだ下手で。私たちと一緒に生活全般のことを勉強しているところですね。

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2頭ともご家族に対してはすっかり安心して甘えていますね。

千恵美さん せめて家の中では安心できるようにと甘やかして育ててしまい、今では保護犬から「過保護犬」に変わりました(笑)。大豆は「こっちに来い」「ここをなでろ」という要求オテと要求ツンツンが激しくて。がんもはスリッパや靴をくわえてグイグイ押し付けてきたかと思えば、最後は私のベッドに投げ捨てています。

英次さん 毛づくろいのつもりなのか、大豆は私たちの顔もすごい勢いでなめます。鼻の粘膜がなくなりそうです。

千恵美さん 影響し合ってチャレンジをするのはいいけれど、がんもの拾い食いを大豆が真似し始めたのは困りました......。家の中では2頭ともパーフェクトですが、外でのトレーニングをがんばりたいと思います。

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犬のルーツや性格によってご家族の関わり方も変わりますか?

英次さん 私は犬と暮らすのが初めてだったから、先入観がないのがよかったのかもしれません。ただ、かわいい(笑)。一緒にボール遊びをしたいとか旅行に行きたいとか、犬にやらせたいと思うことがないんです。ストレスなく過ごしてくれるのが一番です。

千恵美さん 大豆は野犬の子だけあって自分で考えて行動するタイプなので、極端に怖がってなければ散歩中も彼の意思に任せています。がんもはかまってアピールがすごいけれど、かまいすぎると興奮しちゃうのでほどほどに。こちらが個性に合わせて関わり方を変えることで犬たちがリラックスして暮らせれば、と思っています。
成長して性格や行動がある程度固まっている子のほうが、関わり方にも迷わなくて済むかもしれません。初めて動物を迎える方、これから里親になる方には、大人の保護動物をおすすめしたいですね。

取材・文 金子志緒 撮影 田尻光久

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