家族みんなで元気に歳を重ねていきたい
みなを迎えられた星野さん
取材・文 金子志緒 撮影 佐藤正之

星野さんご夫妻と、左からみな(メス・推定4歳)、なな(メス・9歳)
子どものころから当たり前のように犬がいた
星野さんはこれまでずっと犬と暮らしてきたとうかがいました。
ご主人 私は子どものころからシェパード、秋田犬、セント・バーナードと大きい犬ばかり飼ってきましたけど、戌年でもありますし犬ならなんでも好きですよ。
奥様 私も小さいころから生活の中に犬がいるのが当たり前なんですね。先代のはな(ダックスフンド)を亡くしてからしばらくはペットロスになってしまったくらい。でも保護犬を助けたいという思いもあって、6年前に保護施設からななを引き取りました。
2年前に静かな環境に引っ越してから、もう1頭保護犬を迎えられるんじゃないかと夫と話したんですね。動物なら何でも好きなものですから、猫にも惹かれましたが、すでになながいたので犬のほうがうまくやっていけるかと思ったんです。
ご夫妻で多頭飼いを検討されたんですね。
奥様 私が71歳で夫も高齢ですので、子犬を迎え入れると私たちのほうが先に年をとっていくので世話が大変になってしまうでしょう。だから ペットのおうち®︎ で成犬を探すことにしたんです。家族に一途な柴犬の里親になれたらいいなと思っていたら、みなに出会えました。迎え入れる前に子どもたちに連絡して、私たちに何かあれば犬たちを引き取ってもらう約束をして。
ご主人 2頭目がななと仲良くできるかわからないから、私は慎重に考えたほうがいいんじゃないかと言いました。ダックスフンドと柴犬は仲良くなれるのかどうかと。でも今はななのほうがお姉様という感じでうまくやっています。
奥様 わが家でななはずっと女王様だったものですから、最初は「フン!」とそっけない感じでしたが、みなは犬が好きなので、ななにも積極的に寄り添おうとしていますね。

みなはご家族にもすぐ慣れたのでしょうか?
奥様 みなは私にべったりですね。もともとななはパパっ子だったからちょうどよかったかもしれません。
ご主人 私が外出着に着替えるとするじゃないですか。ななは「早く抱っこして」とせがむように飛びついてくるんですよ。鍵を持っただけでも、すぐにくっついてくる。私が出かけようとすると、気配を察知して、寝ていても飛び起きてきます。みなはママっ子だから私が出かけても気にしないですね(笑)。
実はみなが抱っこが苦手ということを知らず、最初に抱き上げちゃったのが少し距離を置かれる理由かもしれませんね。
奥様 私が抱えたときのようにベタ〜ッとはくっついてきませんが、今は主人も抱っこできるようになりました。
「手がかかる子ほどかわいい」という言葉を実感

念願の多頭飼いを始めてからは、予想外のことはありましたか?
奥様 犬たちの相性は問題なかったんですけれども、みなは迎え入れてからすぐ下痢が始まってしまいました。動物病院では、慣れない環境のストレスかもしれないという診断でしたが、処方された胃腸薬やステロイドを飲ませても全然治らなくて、どんどん痩せていくんです。
心配で大きい医療センターに連れて行って検査をしていただいたら、重度の慢性腸症。このまま体重が戻らなければ1〜2年の命と言われてしまいました。縁があって引き取ったからには何がなんでも長生きしてもらいたいと思ったので、今も治療を続けています。一時期は4.8kgまで落ちてしまった体重が5.4kgまで戻ったところです。
ご主人 それでもまだ、ななと変わらないくらいの体重なんですよ。本当は6kg以上あってもいいはずなのに。

迎え入れてから間もないときに余命の話をされたら驚きますよね。
奥様 みなは食事療法食だけではなかなか食べないんですよ。先生に相談して、今はまず食べてくれるものもあげることにしています。なな用のフードを試したらよく食べて体重が増えてきているので、しばらくは様子を見ることになりました。鶏のささみも大好きで目がないんですよ。
寝るときには犬たちを抱っこして2階の寝室に連れて行くんですが、抱き上げるたびに軽いものですから、がっかりしちゃうの。後ろ足がすごく細いのも、脱臼したまま固まってしまったからだそうです。がんばって生きてきたんだから、今までの分を取り戻して幸せにならないとね。手がかかる子ほどかわいいというけど本当ですよね。
みなが少しずつ回復していて本当によかったと思います。
奥様 子どもも孫も元気なので、この子たちに愛情を向けられます。私は今が一番幸せです。私が呼ぶと首をかしげるのがかわいいんですよ。「星野みなちゃーん」、ほら(笑)。みなと散歩をしていると「かわいい顔しているわね」と話しかけられるのが自慢です。
保護ペットを迎え入れるために将来のことを考える

これから愛犬たちとどんなことを楽しみたいですか?
奥様 犬たちを自然の中で遊ばせたいので、日帰りで旅行に出かけたいと思っています。みなを迎え入れてからは病気のこともあり、近場のドライブだけなんです。週に1回は車で買い出しに行くので、買い物がてら4人で。正確には2人と2頭ですが(笑)。夫は車の運転が好きなのであちこちに連れて行ってくれるんです。
ご主人 みなは保護施設から連れ帰ったときには乗り物酔いみたいな感じになりましたが、すぐに慣れて今は車に乗るのは好きですね。

高齢の方のなかには、動物との暮らしをあきらめる方もいらっしゃいます。
奥様 一心に愛情を傾けられる相手がいるのは幸せなことだと思うんです。「犬を飼育している高齢者は認知症のリスクが48%低下する」というニュースが話題になりましたよね。
ご主人 犬がいれば安心できるというか、気持ちが落ち着きますよね、出かけるときには「いってらっしゃい」と見送ってくれて、帰ってきた時は「おかえり」と迎えてくれる存在がいるだけで安心します。犬でなくても動物がいると癒やしになりますよね。

おおよそ60歳以上の方は、譲渡のハードルが上がるケースもあるようです。
奥様 みなを迎える前にも、ペットのおうち®︎ に掲載されていた保護犬の里親になろうと思って連絡したことはあったんですけれども、高齢者ということで譲渡につながらなくて。でも、みなと出会う運命だったんだと思っています。
ご主人 私たちも歳を重ねながら、この子たちと一緒に暮らしたいという思いがあります。動物を迎え入れるには、万が一のときの相談先があると安心ですよね。
奥様 譲渡の条件に里親の年齢が含まれる理由もわからなくはないんですね。高齢になると体力的にも落ちてきますから、私もみなを迎え入れる前に子どもたちに将来のことを相談しましたし。保護されたペットをいっぱい助けられるように、里親の年齢だけでなく、ペットの年齢や性格も踏まえて譲渡を考えてもらえたらいいですね。犬や猫との暮らしを楽しめる里親が増えたらうれしいなと思います。

取材・文 金子志緒 撮影 佐藤正之