4頭の愛犬が子どもを一緒に見守ってくれる
シフォンたちを迎えられた大寺さん
取材・文 金子志緒 撮影 伊藤勇二

大寺さんご夫妻とご長女。犬は左からシフォン(メス・12歳)・JJ(オス・4歳)・イブ(オス・8歳)・ひめ(メス・5歳)
小さくて賢いチワワの魅力に惹かれて多頭暮らしに

愛犬が4頭もいると毎日が賑やかで楽しそうです。多頭暮らしのきっかけをうかがえますか。
奥様 最初は私が独身のころに迎えたチワワのジュニアだけでした。夫と相談して2頭目に保護犬を引き取ろうと思い、ペットのおうち®︎ で見つけたのが、ブリーダー崩壊の現場から保護団体にレスキューされたシフォンです。

ご夫妻にとって最初の愛犬であるジュニア
ご主人 ジュニアとそっくりで驚きましたよ。前足のポツポツのマークまで一緒なんです。僕は実家にいたころには中型犬のロク、ジョリー、大型犬のダイを飼っていたので、小型犬のかわいらしさが新鮮でした。
奥様 チワワは小さいけど賢くて、一緒に遊んだり寄り添ったりしてくれるところが魅力ですね。シフォンはジュニアともすぐ仲良くなりました。ただ、ジュニアが18歳10か月で亡くなってから、シフォンがごはんを食べられなくなってしまったんです。それで元気を分けてくれそうな子犬のJJをブリーダーから譲ってもらいました。

先代犬のジュニアから、2頭目、3頭目と出会いが広がっていったんですね。
ご主人 2頭は犬同士が遊べてちょうどいいと思ったんですが、シフォンとJJの体力的な差が目につくようになりました。
奥様 JJは元気がよすぎるところがあったので、年齢が近い保護犬を迎え入れることにしたんです。それが ペットのおうち®︎ で見つけた3頭目になる、ポメラニアンとチワワのMIXのひめです。
ご主人 前の飼い主さんが直接、里親募集していました。手放す事情や譲渡の条件が丁寧に書かれていて、ひめに愛情をもっているんだろうなと思いましたね。
奥様 2頭から3頭に増えたのは想像以上に大変でした。両手で2頭は対応できますが、3頭になった途端、手が足りないと思うタイミングが出てきて、2頭と全然違うなと(笑)。

大変だと思いながら、4頭目を迎えた理由があったのでしょうか?
奥様 さすがに3頭で手一杯と思っていたら、今度は主人が ペットのおうち®︎ で掲載終了が迫っているイブを見かけたんですよ。
ご主人 皮膚疾患で脱毛がひどくて。狭いケージに閉じ込められている写真だったんですよ。連絡をとって引き取りに行った日がクリスマスイブ。だからイブという名前にしたんですよ。
奥様 チェックアップ(健康診断)に行った獣医さんに内臓疾患を疑われて「長くは生きられないかもしれない」と深刻そうに言われたんですが、いつの間にかその話はなくなりました(笑)。
ご主人 半年くらいで毛が伸びてチワワらしくなったし、今は一番元気ですよ。皮膚疾患を抱えているけど、ケアをしていけば大丈夫かなという状態です。
犬たちのおかげで子どもがたくましく育っている

犬たちは性格や相性がぴったりだったようですね。
奥様 シフォンが犬たちのリーダーとしてまとめてくれているんだと思います。マイペースなところもあって、ほかの犬たちがわちゃわちゃしていても、「若者が何かやっている」と悠々としています。目が見えなくなってしまったので、JJへとリーダーの世代交代があるかもしれませんね。
ご主人 シフォンは意外と気が強くて頑固なところがあるんです。シニアということもあって「食べたくないものは絶対に食べない」と食べムラが出てきていて、介護を考える時期に来ていますね。
奥様 メンズのJJとイブはすごくおっとりで、遊ぶときもすごくジェントル。特にひめの遊びが激しくなりすぎたときには、「イブ、お願い」と頼むと止めに行ってくれるのですごく頼りになります。
ご主人 ひめはこっちが油断した隙を突いてやらかすんですよ。
奥様 4頭のなかで一番賢くて目的のために頭を使うタイプ。感受性が豊かで私が悲しそうにしていると、絶対走って寄り添いに来てくれます。
現在の愛犬たちがそろったところで、お嬢様が誕生されたわけですね!
奥様 思いがけず大家族になりました(笑)。娘のアレルギーだけが懸念事項でしたが、まったく問題なく、居住エリアを分けなくて済みました。女の子チームのシフォンとひめが母性を発揮し、男の子チームのJJとイブは近くで見守ってくれているようです。赤ちゃんに私たちのアテンションが向くと、甘えん坊のひめがやきもちを焼いてしまうかなと思ったら、妊娠中からおなかに寄り添ってくれたりしていたんです。娘もひめのことが大好きなので、安心して見守っています。
ご主人 多頭飼いだったから大丈夫だったのかもしれないですね。娘と犬たちは一緒に寝ているくらい仲がいいんです。娘のプレイスペースにベビーフェンスをつけているのは、犬が入らないようにというか、娘が出てこないように(笑)。仲良しのひめと一緒におとなしくしているなと思ったら、一緒に悪さをするようないたずら盛りのコンビなんですよ(笑)。

お嬢様と犬たちも仲良くされていて、ほほえましいと思います。
奥様 犬たちがワンプロしている中でたくましく育っています。赤ちゃんが寝ているからといっても、犬たちは静かにしないじゃないですか(笑)。でも、娘が泣いたときには犬たちが私を呼びに来てくれたりして、気にかけてはくれていると感じますね。
ご主人 娘は1歳にしては大きいし、歩き出すのも早いんです。それに肝が据わっていると思います。一人っ子でも犬たちに囲まれながら育っているのがいい刺激になっているのかなと。顔立ちは妻に似ていますが、中身は私じゃないかな。細かいことを気にしない(笑)。
奥様 シフォンは見えないこともあって、娘の気配を感じると「ワン」と吠えてちゃんと制御しようとするんです。ひめは娘に何をされても懲りずに近寄っていきます。私たちがそばで見守るようにしていますが、娘が加減できずに耳をつかんだりしたときにも、ひめは噛むこともなく上手にやめさせてくれます。ひめが興味を持ってくれているのが仲良しの秘訣ですね。

ご出産や育児で大変なときをどのように乗り越えられたのでしょうか。
奥様 犬たちは犬の保育園に通っていて、ドッグシッターさんにもサポートをお願いしています。先代犬のジュニアのときからのご縁で、私たち以外に頼れる人がいるのは、この子たちにとっても安心だと思います。
ご主人 近くに頼れる方がいるのは本当にありがたいですよね。娘が成長すれば犬たちの面倒を見る側に回ってくれると思います。あとは犬を2頭以上で飼うのがおすすめかなと。先代犬がトイレや遊び方を教えてくれるので自然とマスターします。
介護や防災のことまで考えて犬と暮らしていきたい

シフォンのように歳を重ねた犬と暮らすことに対する思いを教えてください。
ご主人 どんな形で犬を迎えるにしても、一生に責任を持つことではないでしょうか。ジュニアの介護が始まったころにコロナ禍で在宅勤務が広まったおかげで、最後までしっかり面倒を見られました。
奥様 ジュニアを看取った経験は、次の犬たちとのお別れの方針を2人で話し合うきっかけになりました。初めての介護だったので、獣医さんが言う治療を全部受けさせてジュニアには無理をさせてしまったのではないかと。クオリティ・オブ・ライフを優先しながら向き合ってきたいですね。
ご主人 積極的に治療するのが果たしてよかったのかどうか。今のかかりつけの獣医さんはよく話を聞いてくれるので、「痛い」や「しんどい」を取ってあげたいけれど、無理な治療はしたくないんだと伝えています。

犬たちとの暮らしで心がけていることはありますか?
奥様 私は阪神・淡路大震災で被災しているんです。災害のときにどうやって家族を守るかということが常に頭の中にあって、避難グッズはしっかり準備しています。動物は一番後回しにされやすい立場にいると思うので、災害のときこそ周りに迷惑をかけないようにクレートトレーニング(ハウスで落ち着く練習)をして。犬たちは興奮しているときでも「ハウス」の指示は聞いてくれるんですよ。この子たちの安全を守るためにも必要だなと思います。
ご主人 私たちが住んでいる地域の避難所はすべてペット同行避難ができますが、一緒のスペースには入れないんですよ。だから在宅避難を想定して備えています。もし避難所に行かなければいけないときは、同じように困っている飼い主さんや動物たちの力になれるように、自分が世話のボランティアに立候補しようと思っているんです。
奥様 1頭だけ連れて避難するより、4頭のほうがハードルは断然上がってしまいます。動物と暮らすにあたって毎日の楽しさも大切ですが、命を守れるのは飼い主しかいないので、安全第一で過ごしたいなと思っています。

これから里親になろうと思っている方に伝えたいことをうかがえますか。
ご主人 動物と暮らす場合、毎日の食費だけでなく、病気になれば治療費もかかります。世話の手間も必要なので、ある程度の余力が必要だと思います。最近はペットをあきらめる高齢の方が増えていると聞きました。私は自分たちが歳をとって若い犬を飼うのが難しくなったら、シニアの保護犬を迎えて介護や看取りをしたいなと考えています。最後の数年を家族として一緒に過ごすという暮らし方もあると思うんですね。
奥様 ペットのおうち®︎ のおかげで、私たちは愛犬たちに出会えました。イブのように飼育放棄されていた子もいれば、どうしようもない事態で手放されたひめみたいなケースもあるので、命を助けて次の飼い主につなげるために活用していただきたいですね。生まれつきの持病があったり、歳を重ねて不調が出てきたりするのは当たり前だと思うんです。完璧な人間がいないように、生き物である以上、完璧はあり得ないなと。縁があった子をまるごと受け入れることが大切ではないでしょうか。

取材・文 金子志緒 撮影 伊藤勇二