• 別れ
  • 2016年10月11日 | view 542
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備忘録パピー’ズ

sutoren さん
sutoren さん

ずっと文章にする事を迷ってたこと。
自分の無知と無力と愚かさを痛感した日。そしてずっと後悔が消えない最悪の日。

2016年5月13日金曜日、午前5時17分。俺が諦めた時間。


「安易な考えで繁殖させてかわいそうな命を増やす。家族として迎えた子の命を危険にさらす」行為。
何度も読んだし、何度も考えた。文字の意味も分かるし、言わんとしてることも分かる。わからない言葉や犬の習性は勉強した。
でも、何もかもが足りなかった。


カノンのヒートを、成長の証として大喜びしてから数日、モカの様子がおかしいことにやっと気づいた。
今までできてたトイレが出来なくなってる。失敗、と言うかマーキング。食欲が落ちる。落ち着かない。情緒不安定。
原因は間違いなくカノンのヒート。

やっと身体がちゃんと成長し始めたカノンに、すぐ子供を望んだわけじゃない。そりゃ、お嫁さんを、とカノンを迎えたのは事実。モカとの相性も、正直どうなのかわからない。この先の生活もまだ未設計。絶対に子供が欲しい、と考えてたわけじゃない。でも、去勢も避妊もしなかった。去勢や避妊に必要な検査は終わってた。けど、やっぱりしなかった。それは俺が決めた事。

モカがその気になってもカノンが強く拒絶を繰り返して、今回は成長だけを喜んで、モカには辛抱してもらって赤ちゃんは見送る、その予定だった。
マナーパンツはカノンが動く度にずれて外れやすくなったから、紙おむつタイプに切り替えることにした。ウェストできちんと絞められて、ずれない。たったそれだけの事で気が緩んでた。
だから、隔離はしなかった。結果、交配は当然のように行われ阻止には失敗。
でも、その時は失敗とは考えなかった。起こった事実は変えられない。誕生するかもしれない命を素直に喜んだ。

数日後、かかりつけで診てもらう。が、初めてのヒートで想像妊娠の可能性が高いし交配で必ず妊娠するわけじゃないから2週間後もう一度来てください、と診察は終了。
再診は、俺が仕事のため友人へ頼んだ。やっぱり想像妊娠と思うので一度エコーを撮りましょうとなったらしい。そして歓声が上がったらしい。仕事から帰って、エコーの画像を見て、素直に喜んだ。
その頃にはモカの様子も落ち着いて、ほぼ普段通りの生活に戻り始めた。

少しずつ膨らむカノンの身体に健やかな成長を確信し、日々膨らむ期待に、毎日、本当に毎日が楽しくて嬉しくてその日を待ち望んだ。
初診では2頭。でも実際は1頭だけ。診察の度にカノンの中で大きくなる新しい命。先生には、1頭だけの場合、お腹の中で大きくなりすぎる事がある。しかも今回は逆子なので帝王切開も視野に入れておいて下さい、と注意された。

そして、交配から大体60日前後のあたりで1週間、まとめて休みをとった。
最初の3日間、いつ生まれてもおかしくない予兆だけはあった。4日目、明日自然分娩がなかったら帝王切開しましょう、と話が決まった。
それからすぐ体温が36度台まで下がりだし、いよいよ、と再度準備と環境の確認。

深夜1時をまわり、カノンの様子が明らかに変わった。陣痛が苦しそうで気をもむ。2時をまわりおそらく破水。でも出てこない。3時をまわり少し赤ちゃんが見え隠れする。でも出てこず。先に赤ちゃんの周りの羊膜を破いてしまう。夜間病院に電話。看護師さんと話してる最中に足と尻尾が出てきた。慌てて電話を切って助産にまわる。カノンがいきむのに併せて胎児を引っ張る。が、小さい。やわらかい。力の加減がわからない。それでも。それでも、もう赤ちゃんを包む膜はない。胎盤から離れてしまってるかもしれない。がんばれ、がんばれと声を掛け、4時47分、やっと出産。

カノンは自分でへその緒を切り、残った膜を舐めとり赤ちゃんを優しく舐めおっぱいへ運ぶ。
でも、鳴いてない。きっと息をしてない。いったん赤ちゃんをカノンから離す。呼吸するようにさする。身体が冷たい。ぬるま湯につけながら、今度は赤ちゃんにがんばれ、息をしろ、とさすり続ける。
ずっと涙が止まらなかった。そして、俺は諦めた。

カノンと同じ、額のひし形の柄。モカと同じ真っ白のしっぽ。小さい肉球。小さい爪。まだ歯の生えてないピンクの口。まだ開いてないピンクの耳。まだ開いてない小さい目。
キレイな小さい小さいからだ。きっとそこにあった命。235グラム。

カノンは何度も何度もおっぱいを飲ませようと赤ちゃんを抱える。その仕草があまりにも健気で、お母さんで、何もしてやれなかった自分を悔やんで、カノンがかわいそうで、モカに申し訳なくて、そう思う自分を憐れんで、そしてひとしきり泣いた。
冷たくなった赤ちゃんをカノンから離す。赤ちゃんを探してカノンが鳴く。
それを見て、また泣いた。



その時の朝陽、澄み切った風をはっきり覚えてる。
その後、モカを抱いて少し寝た。
内容はまったく覚えてないけど、ものすごく幸せな夢をみた。


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