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皆さんが愛犬を飼い始められた理由や、犬種を決められた理由は様々だと思います。そして飼い始めて一番悩まれたのが”愛犬のしつけ”ではなかろうかと思います。恐らく、どなたにも通用する解決策を見つけるのは至難の業だと思います。以下に記述する我が家のイヌたちの内で、生い立ちの違う特徴的な3頭の”しつけ”の例は、皆さんのお悩み解決の糸口になるやも知れず、との思いで記述する事にしました。
私共が、現在のようなビーグル犬(アメリカン・ビーグル系)の多頭飼いをするはめになった詳しい理由は、HPに書いていますので、ここでは省きます。最初の1頭(ノナン)を飼い始めた時、アドバイスして下さった、長年大型犬を多頭飼った経験を持っておられるTsさんの言葉を、今も心に留めています。それは「バカな飼い主は沢山居るが、バカなイヌは殆ど居ない」と言うものです。そしてバカな飼い主にならぬ為に、イヌのしつけ(訓練)教室へ行って、自らの行動がイヌの行動に影響を与える事を学ぶべきだと、教えて下さったのです。
つまり、イヌのしつけ教室は、”飼い主がしつけ”を受ける場所に他ならない、と往時の私には夢想だにしなかった「イヌの飼い方」をお教えて下さった方の言葉なのです。イヌのカリスマ的トレーナとして有名なシーザ・ミラン氏の言葉を借りれば、如何にして「群れの良きリーダになるか」を学ぶ場所、と言い変える方が、どなたにも受け入れやすい表現かも知れません。
●ノナンの場合:
ノナンは君津市小水のSzさん宅(p.s.:最近、”こんなところにポツンと一軒家”なるTV番組で紹介されたそうです)で、アイちゃんを母親にマルちゃんを父親に、2006年11月23日の生まれですから、もうすぐ満10才になります。生後45日目に、我が家の第9番目の家族になりました。
普通、生後8-12週母親の元で生活する方が、"母親のしつけ"を十分受けられるので、生物学的には望ましいのだそうです。当時、残念ながら私は、この両親が果たす”仔イヌのしつけ”の意義を十分理解していませんでした。それ故、他の事情もあって、生後比較的早い時期にノナンを母親から離してしまいました。幸いな事に、当時週1回のワナの見回りをノナンを連れて、この地区で行っていましたので,母親のアイちゃんとも父親のマルちゃんともノナンを引き合わせる事が出来たので、両親が果たすそれぞれの役割の”しつけ”を受ける事が、偶然、曲がりなりにも行えたのでは無いかと考えています。また、”一人仔”は「ダメ化の第一歩ではないか」との危惧の念から、2ヶ月遅れでデカン(2007年2月8日生まれ、ノナンの異父甥)を我が家に迎入れました。そして、ノナンの躾を6ヶ月目からほぼ5年間"イヌの躾け教室"で隔週行いました。(なお、デカンとアンデイ-はノナンの訓練を側で見ていてコマンドを覚えた様です)
この間、ウンデカン(通称アンデイ-;2008年11月3日生まれ、デカンの弟)も我が家の家族の一員として加わり、ノナンとアンデイ-を連れて、時にはデカンも一緒に、君津地区周辺のイノシシ、ホンドジカを調査捕獲のために、仕掛けたワナの見回りを行うのがルーチン化していました。私はノナン達をいわゆる”巻狩”に使った事は一度もありません。ノナン達を連れて行くのは、彼らの嗅覚と聴覚をフルに発揮して貰って、イノシシやホンドジカの存在を示唆して貰い、或いはこれらの獣の突然の飛び出しによる受難を未然に失せぐのが目的でした。私はこれを「早期警戒システム」と名付けています。お陰で、このシステムを採用してから、逃げ去る野生の獣を観察する事があっても、事故に繋がるような事態には一度も遭遇しませんでした。
さて、ノナンの一番悪い行動(性格、クセ)は、「ハンターとしての”野生”のスイッチが一旦入ると私の命令を無視する事」です。要するに私を「群れのリーダ」として認めてくれない場合が時として生ずるのです。この性質(性格)を狩猟者間では「猟欲が強い」と表現しています。一旦、”獲物(または疑似獲物)”の臭いを嗅ぎつけると、命令を無視して何処までも追って行こうとします。この性質は、嗅覚犬の最大の特徴であり、ハンターとしては必須な条件です。しかし裏目に出れば、訓練中の訓練放棄、そして出奔して迷子になる事に繋がりますし、野外での仕事中であれば”一匹旅”の末、手元に戻らないかも知れません。
恐らく、”父親犬によるしつけ”を十分受けさせなかった結果であり、これを補う”私のしつけ(幼犬時に耳を噛むなどしてやってはいけない事を覚えさせる)”が不十分だった事に起因すると考えています。つまり、私がリーダとして十分成長していない事でしかありません。
●ポー場合:
ポーは母親のアイちゃんが産んだ最初の女の仔の1頭であり、ノナンは最後に産まれた男の仔の1頭(異父姉弟)です。「亡き主人を尋ねて古巣に戻ったポー」や「死を覚悟したポーに生きる気力を与えたマーチ」で前述したように、前の飼い主さんが他界される3ヶ月前に生家のSzさん宅へ戻された後、ポーは後肢マヒを起こし、我が家で5ヶ月間リハビリテーションを行ったのが縁で、2012年我が家の一員に加わりました。ノナンとは10才年が違うので、今年は20年目を生きている事になります。
前の飼い主さんの家では係留綱無しで、同僚犬と一緒に縁の下に寝ぐらを構えていて、日中は縁側の廊下まで上っても良い事になっていた様です。我が家では室内飼で、ケージに子猫用のプレイペンを繋いだ場所をホームにしています。それでも、粗相をした事は一度もありません(この”躾の良さ”が、ポーの死期が近づくにつれ、夜間でもポーを抱っこして且っての散歩途中で小便や大便をした場所まで運んでやらなければならず、既に80歳になった私には大変負担になりました)。現在、お散歩の際はリードを付けていますが、嘗て小水でダイちゃんの代役で、私のワナの見回りに付いて来てくれた時は綱無しで先導してくれました。
ポーの悪いクセと言えば、餌を計量中の私に向かって「アホウ、早くよこせ!」とも聞きなせる、独特の元気ななき声(ワア↑ウウ↓ワア↑ウウ↓)と声を張り上げる事です。しかし、この声が聞える限りは「ポーは元気なのだ」と受け止める事にしています(実際、最後の1ヶ月ほどはこの鳴き声を張り上げませんでした)。
ポーのもう一つ悪いクセは、お散歩中の「我が道を行く」態度でしょうか? 私と歩くときは私の進行方向の左側をやや離れて歩き、臭いを嗅ぎたい場所で突然止まります。時には強く主張する場合があり、家内との散歩では手こずるようです。ただ、ポーは老齢でもあり、我が家に来てからポーと一緒に訓練を受けた事はありません。私は、リーダとしては失格ですが、この様なポーの態度を大抵の場合、正さない事にしています。理由は、単純、”好きなように生きろよポー”です。
P.S.ポーはJAN.25,2017、21年目に他界しました(何れ、「ポーの最期」を書きたいと思います)。
●チャッピーの場合:
チャッピーは2011年千葉県富津市の生まれ(「チャッピーとの出会い・里親になるまで」をご覧下さい)、2012年に我が家の一員に加わりました。チャッピーは毎週ドッグ・トレーナーによる訓練を受けています。その効果も手伝って、最近では「アクセルとブレーキを同時に踏んで車の方向を変えるかの様な”興奮性の強い性格”」がずいぶん制御される様になりました。
しかし、最も困る行動は、恐らく母親の躾を十分受けなかったのでしょう、未だに居住場所のケージの中で粗相をしてしまう事(我が家の7頭の中ではチャッピーだけ)です。面白い事には、チャッピーの仔ども達(例えば、マーキュリー)には、居住場所での粗相をしないよう”しつけ”を完了しています。
この母親が行う”しつけ”を生物学的観点から考察すると、「仔育て中は巣の中を(仔ども達の尿や糞を母親が食べて)清潔に保つ事で、外敵から仔どもたちの居住場所を察知されない様守るのに必須な、オオカミに連なる野生時代から維持されている性質」であろう(怠れば、母親の留守に外敵に襲われ仔どもたちは生き残れず、従って”種の保存”が難しくなる可能性が大きいので、恐らく行動の重要部分が遺伝情報として組み込まれている”仔育ての仕組み”でしょう)。一方仔ども達は巣を清潔に保つ習慣を十分身につけた頃に母親から独立するものと、考えられます。
以上の例示から結論らしき事柄を引き出せるとすれば、仔イヌの躾には「親犬による躾」、「群れによる躾」、「”しつけ教室”での躾」の少なくとも三つの異なる側面があるように思われます。入手された愛犬が、最初の2種類の躾を完了していれば(”善良なブリーダ”の元で育った仔イヌを入手されたのであれば)、「悪い仔」、「良い仔」、「理想の仔」は「飼い主さんのリーダとしての熟練・達成度」を反映しているのではないかと思うのですが、皆さんはどのようにお考えでしょうか?
蛇足:Szさん宅のビーグル犬たち間で産まれる仔イヌの”近交係数”を低くする(所謂、”血の濃さ”による弊害を少なくする)目的で、ブリテイシュ・ビーグル系のマーチ(Speed Star JP Kingbird)を導入しました。しかし、コマンドに対する理解、運動機能は我が家のイヌたちとは比較できないほど優秀ですが”猟欲”は皆無で、イノシシやシカの匂いには何ら興味を示しませんでした。この点では、仕事犬としてマーチに働いて貰うには、余りにも”遺伝的背景”が違いすぎ、この導入は痛恨の失敗事でした。マーチは今、ご近所のYgさんに里親になって貰い余生を謳歌し、丸々と太っています。


