先週の木曜日
友人からメールが届いた。
職場近くの駐車場にボロボロの猫がいるらしい。
とても気になるのだが、どうしたらいいのか分からなくて…と。
猫がいる住所を聞くと私の家の近くだ。
住所と猫の写真を送るよう頼んだ。
写真を見て友人の気持ちが分かった。
連日30℃を越す真夏日の中、長毛の野良猫だなんて。
聞けば毎日同じ駐車場にいるらしい。
周りは住宅地で、駐車場には車以外何もない。
夜こっそり見に行った。
自由に移動できる野良が昼も夜も同じ場所にいるはずがないと思ったが、その子は写真と同じ場所にいた。
持参したチュールと猫缶で距離を縮める。
チュールはちょっと舐めただけで、猫缶は口もつけずになかなか距離が縮まらない。
お腹が空いてない野良猫?
それとも食べられないくらい具合が悪いのか…
呼吸数を観察すると興奮しているのか若干速い。
でも、正常範囲だ。
しばらく頑張ったものの猫のように自在に民家の敷地内に入る事も出来ず、食べ物に興味を示さない猫を捕まえるのは大変かも…と思いながら家に戻った。
金曜夕方
明るいうちにその場所を見に行った。
そこに居続けているのには理由がある。きっと、生きていくのに有利な理由がその近くに必ずあるはずだ。
そう思って駐車場横にある一戸建てのお家のガラス窓を見ると、白い猫と目があった。
「こんにちは」
笑顔で近づくとわらわらと色んな毛色の猫たちが私を見に集まってきた
「1、2、3…」10匹?いや、それ以上…
やっぱり。
ここだ。この家の人だ。
ちょうど外に出てきた家の人を呼び止め事情を話すと、家の裏にある秘密の場所に案内してくれた。
家の裏手にあたる窓の外に設置された台の上に、空っぽのお皿が2枚。周りに猫缶の中味が散乱している。
聞けばその家の娘さんが猫好きで、家の中と外に来る猫を捕まえて不妊手術をしてきたらしい。
友人が見つけた猫は約10才で、警戒心が強く捕まらないので手術していないのだが、若い時一度出産しただけで子猫は生まれないのだという…。
食べ物の心配はない事を知って友人の決意が揺らいだ。
彼女は飼育放棄された小型犬2匹と暮らしている。
猫を飼った経験はない。
歯も抜けボロボロで柔らかいものしか食べられない状態の野良猫。
こんなに暑いのに猫風邪をひいているのも一目で分かる。
たぶん体の中にも外にも虫がいて口内炎の状態から猫エイズの可能性も非常に高い。
保護したとしても綺麗になるまでのハードルが高く、体もボロボロで即、介護生活に入る可能性もあり、しかも人には一度も心を開いた事がない。
少しだけ迷って彼女は決めた。
そのボロボロの猫を捕まえて一緒に暮らす事を決めた。
彼女にとって生まれて初めての猫だ。
娘さんの帰りを待って捕まえる手助けをお願いした。
持参した足踏み式の捕獲器は、以前失敗した事があるから入らないだろうと戻された。
捕獲器無しでの捕獲に不安を感じたものの、捕まえたら連絡を下さるという言葉に賭ける事にした。
夜、彼女のマンションへ貸し出し用のケージを運んだ。
今まで過酷な外での生活をしてきた分も、ここで穏やかに過ごして欲しい、という彼女の言葉が心に響いた。
そして今。
電話の着信にドキドキしながら毎日、娘さんからの連絡を待っている。
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