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  • 2022年02月06日 | view 422
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流転の猫生 保護猫とらちゃん

2021年の暑い暑い夏

千葉県内の とある街で ガリガリに痩せた とらちゃんは保護されました。

とらちゃんが その街に現れたのは いつ頃からハッキリしませんが、
(2021年7月中旬ごろから よく見かけるようになったそうです。)

うなぎのように ヒョロ〜リと長く ガリガリに痩せ細った その身体で、
どこで生まれて どこで育ち 
どうして その街で暮らしているのか分からないけれど

野良猫ちゃんには大変珍しく
人間が大好きな とらちゃんは、
人懐こくて 愛嬌があるので
地域のたくさんの方の目に留まっていたようです。


とらちゃんの
存在を愛しく思ってくれる方達に
とらちゃんは精一杯
愛嬌をふりまき

撫でられたり優しくしてもらうと 
その人の
後をトコトコ付いていって
マンションの8階のお家まで一緒に付いて行ってしまうほどでした。
又、大好きな人のマンション入口でひたすら待ち続ける とらちゃんの姿もありました。

でも、
どんなに「可愛い可愛い」とたくさんの方々が言ってくれても
それは
お外で会った ほんの一瞬だけで、
とらちゃんが大好きな方々は、決してご飯を毎日毎日 与えてくれる訳ではありませんでした。

人間が大好きな とらちゃんは、
必死に自分なりに
「ボクを家族にしてください。
お家に入れて欲しいよおー!
お腹が空いたよー! 
お腹いっぱい食べたいよー!」という アピールで
愛嬌を振りまき、お家に付いて行っていたのかもしれません。

とらちゃんは、人見知りしない とっても魅了的な猫。

とらちゃんのことを気にかけてくれていた インドの方は、
とらちゃんを通じて
地域の方々と交流を深めることが出来ました。

人と人の 垣根を取っ払い
とらちゃんを中心に仲良くなってしまうなんて 
とらちゃんだからこそ 出来る「技」かもしれません。

そんな「特技」をもっていたからこそ
とらちゃんは、
自ら幸せになる為の 運命の赤い糸を手繰り寄せようと頑張っていたと思います。


とらちゃんの存在を気にかけてくれる地域の方は、複数いたようですが
その痩せっぷりからは 
毎日ご飯を貰えるような状況でないことは 一目瞭然でした。

安易に 野良猫に餌を与えることで 近隣トラブルになり兼ねない時代です。


とらちゃんも そんな理由から
ご飯にありつける日と 
ご飯にもお水にもありつけない日が きっとあったと思います。



2021年 7月
「ビックリするほど 人懐こい野良猫がいる。」

その街で 真摯に 地域猫活動をしている地域猫の会に とらちゃんについて相談がありました。


地域猫の会の方が確認に行くと
ガリガリに痩せて毛艶が悪く 体中あちこちハゲがあって 
けど 
めちゃめちゃ人懐こい とらちゃんが いました。

地域で愛されて 毎日ご飯をもらっていればこんなに痩せていることはないはず。
とらちゃんの姿を見て切なくなりました。

人懐こい野良猫・・
それは、可愛いだけでなく
とても危険なことでもあります。

とらちゃんが暮らしていた街では、
卑劣な動物虐待事件が多発していました。
逮捕者も出ています。

何頭もの猫ちゃんが、尊い命を奪われたり 重傷を負わされていました。

人間に対して警戒心のない猫ちゃんは、
簡単に捕まえられてしまい 虐待に遇う危険性があり、

容易に連れ去られたり、
お腹が空いていれば 初めて会う人間が差し出したご飯も警戒心なく食べるので 
どんな形で 虐待に遭うかわかりません。

こんなに人懐こい子が
お外に
このまま 居てはとても危険だと 
地域猫の会の方は危機感を感じました。

地域猫の会として 保護して去勢手術を施し またお外に戻すTNR・・・をすべきか。

とらちゃんに去勢手術を施して 元いた場所に戻しても
虐待に遭う可能性が 人に馴れていない猫ちゃんよりも高いからです。

地域猫の会のボランティアさんは、大変悩まれ 心を痛められました。

とらちゃんを 保護して里親さんを探して「家猫」として幸せにしてあげたいと思いましたが
とらちゃんを保護しても お世話が出来るお家がないのです。

どのボランティアさんも 皆さんキャパオーバーで 新しい保護猫を一匹 迎え入れる余裕がない
厳しい現実がありました。


ですが、
幸いなことに
とらちゃんのことを 可愛がってくださっていた猫好きな近隣住民のおひとりが
「保護出来たら 我が家でとらちゃんを飼いたい」と言ってくれました。
(その方が、 とらちゃんと名付けました。以下
「名付け親さん」と 記することにします。)

でも、
名付け親さんは
生粋の野良猫ちゃんを保護した経験がありません。

そして、
現在  純血種の猫ちゃんを一頭 飼っておられます。

ご自分で保護して すぐにお家に迎え入れるのは難しいようでした。

地域猫の会の方は、
とらちゃんを保護出来る日が来るまで

毎日毎日 とらちゃんに
お水とご飯を与える為に通って下さり、
身体の所々が脱毛していましたが 
お薬を飲ませて下さったので 
すっかり皮膚炎も治り うなぎのような体型から 少しずつ ふっくらして来ました。(とはいえ 保護時の体重約3キロ

地域猫の会の方から
とらちゃんを
保護したら 一時的に 預かって頂けないかと
私の友人 Oさんにご相談がありました。

友人 Oさんご夫妻は、
私が保護した猫ちゃんを、何回も預かって大切に大切にお世話下さる 猫愛に溢れたご夫妻です。

去年、一昨年と連続で 

保護時に妊娠していたお母さん猫を預かって下さり
妊娠〜出産〜育児を手厚く見守って
子猫たちの里親さま募集までしてくださった ご夫婦共に猫ファーストで愛情深い とても心強い頼りになる存在です。

とらちゃんの一時預かりのご相談を受けて
Oさんは 躊躇うことなく 
「とらちゃんが幸せになる為なら 喜んで預からせて下さい!!」と
名付け親さんのお家へお迎え頂けるまで 一時的に預かることを快諾されました。

保護して
Oさんのお家で預かって頂き
 
去勢手術を受けて ワクチン接種や駆虫などの医療ケアを一通り済ませて
家猫修行を積んだら 

お迎え下さる おうちも ほぼ決まっている!! 

とらちゃんは 幸せになるキップを手に入れたようなものです。

たくさんの方々が とらちゃんの幸せを1番に考え   一生懸命 連携し頑張ってくださいました。

そうして
昨年9月4日
とらちゃんは晴れて保護され
私の友人
Oさん宅へ やって来ました。

うわさ通りの甘えん坊で、
初対面でも Oさんご夫妻に ゴロゴロ言って お膝や身体に乗って甘えて来ます。

私も2回ほど 会わせて頂きましたが、
初対面の私たち夫婦にも
隠れたりせずに 
抱っこさせてくれて甘えてくれました。
 
私の膝にのった とらちゃんは

私の顔を ジーッと下から見つめ
腕を枕にして身体を委ね ゴロゴロ言い始めました。
 
本当に可愛くて可愛くて抱きしめたくなり 
思わず連れて帰りたくなるキュートさでした。



とらちゃんを家族として迎えたいとご希望くださった 名付け親さんも

満足にご飯も食べられない 過酷なお外暮らしを とらちゃんが卒業して

安心安全な Oさんのお宅で暮らしている様子を
 Oさんより 逐一ご報告を受けて とても喜んでいました。

そして、
昨年9月7日
去勢手術を受ける際に
血液検査をしたところ
とらちゃんは 猫FIV陽性・・・エイズキャリアと 診断されました。

FIVキャリアと言っても
今現在、とても元気いっぱいで健康そのものです。

お外時代のように 
その日その日の ご飯の心配をしなくても大丈夫なので
モリモリ たくさん食べられるようになって
すっかりふくよかになり、
毛艶もツヤツヤになって とらちゃんはすっかり健康そのものに生まれ変わりました✨

野良猫に多い 猫風邪をひいていた為
季節の変わり目や 気温が低いと鼻水が出ることはありますが
室温調整や加湿で対応出来ています。
症状が強く出た場合には、
点眼薬や抗生物質の投薬で対処できる程度です。

若くて元気いっぱいの とらちゃんは 
夢にまで見た おうち生活を満喫し 
無邪気に遊び

名付け親さんの おうちへ もう少ししたらお引越し出来るかな・・と思っていました。


でも
FIVキャリアだったことが判明すると

名付け親さんは、 先住猫さんへの感染リスクをご心配され

「Oさんのお宅で このまま幸せに暮らして
時々 とらちゃんの様子を拝見させて頂けたら嬉しい!」という 結論を出されました。
つまり ・・・とらちゃんを「家族」としてお迎えする お話は 白紙に戻したいということです。


先住猫さんを、 とらちゃんの持っている病気から守るためにも
それは 飼い主として 正しい選択なのだろうと思います。

とらちゃんは 自分に非があって FIVキャリアになった訳ではないけれど

そのことが原因で
「家族」として迎えてもらえない 悲しい悲しい現実がありました。

もちろん
名付け親さんご自身も
FIVについて色々と勉強されて出された結論です。

保護する前にも こういった想定は全くしていなかった訳ではありません。

そして、
自分のお家に とらちゃんを お迎え出来ないけれど
Oさんのおうちで幸せに暮らして欲しい。
元気で幸せな とらちゃんの様子を見たい。 
時々会わせて欲しいと
言って来られました。

それは
大好きなとらちゃんは、自分では飼えないけれど

よそのお宅・・・
自分が知らない方へ 里子に出さないで欲しい。
このままOさんのお宅で・・という 意味でした。

人間というのは、
時に本当に 身勝手なのだと思い知ることが
猫ちゃんの保護活動をしていると多々あります。


すっかり Oさんご夫妻とおうちに馴れているので

とらちゃんにとって 
慣れた環境で暮らせることは
最適 最高なことかもしれませんが、
難しいご事情がありました。

だからこそ
Oさんのお宅にいる間は 出来る限りの愛情を注ぎ

とらちゃんの全てを受け入れてくださる 素晴らしい里親さまの元へ 送り出したいと心から願っておられます。

余談になりますが

とらちゃんは
Oさんご夫妻に 可愛い首輪を着けてもらいました。
(災害や万が一の脱走時などの 緊急時の安否確認 身元確認のため首輪を付けています。)

たいていの猫は、首輪を嫌がり必死に抵抗し外したがります。

それなのに
とらちゃんは、嫌がることもなく受け入れて
むしろ 
「とら坊 カッコいいね 似合うね♥」って褒められて 
とってもご機嫌で
お家猫の勲章のように思っているのか 
カッコ良い首輪をつけてもらって 誇らしげにしています。

恐らく
人馴れしていること
首輪を嫌がらないことから
とらちゃんは
元 飼い猫だったのではと 推測しています。

つまり 飼い猫として飼われていたのに お外に放り出された。
もしくは、外飼いだったけれど 何らかの事情で ご飯を貰えなくなったという事も考えられました。
(注 保護後、とらちゃんが「迷い猫」としての登録がないこと 飼い主がいないことは 確認済みです。)

人間の都合に振り回されても
それでも
とらちゃんは人間が大好きです。


とらちゃん 
待望の幸せを掴むことは
叶わなかったけれど
きっと 本当のご縁が待っているはずだと 気持ちを切替えて Oさんご夫妻は
引き継ぎ とらちゃんの里親さま募集をしています。


昨年11月は
Oさんご夫妻のご友人経由で
今年1月は
私の友人の紹介で

再び とらちゃんに
お見合い話が舞い降りて来たのですが
残念ながら
とらちゃんの良さを分かって頂きたくて
実際に会って欲しくても お見合いまでも辿り着けず ご縁に至りませんでした。


FIVキャリアというだけで
自分だけの家族とお家を見つけて 幸せを掴むことが出来ない理不尽さ。

こんなに人懐こくて人間に寄り添ってくれる可愛いとらちゃんなのに・・・
お見合いして
実際に会って頂くことも叶わない現実があります。


私自身、FIVキャリアの猫を3頭飼っております。

3頭ともに
年に一回のワクチン接種と 定期検診で病院に行く程度で 元気いっぱいです。
猫にとって 快適な環境、ストレスの少ない生活を送ることで 発症せず長生き出来ると言われています。 

むしろ
FIVキャリアでない 他の猫たちの方が


腎臓病、 甲状腺機能亢進症や 肥大型心筋症、大動脈血栓塞栓症、腫瘍、膵臓病、麦粒腫、口内炎などの

FIV以外の病気を患ったり闘っています。


猫ちゃんの病気を
FIVだけ特別視したり 恐れることに対して
正直なところ 残念に思います。


いつなるか全く予測不能な病気よりも、
前もって FIVキャリアだと 判明していることで、
若く元気な時から 健康管理をしっかりし気をつけることで免疫力を上げて 発症リスクを下げ予防も出来ると思っています。


「健康な猫ちゃんを家族としてお迎えしたい。」

それは間違いでもないし、誰しもが願う事だと思います。


猫ちゃんを家族としてお迎えする選択肢として 
ブリーダー
ペットショップ
保護猫など


いくつかありますが、
どこから お迎えしても 100パーセント 生涯に渡り 健康という「健康保障」はありません。

遺伝子検査をするペットショップやブリーダーもありますが、
検査対象以外の病気になる可能性もあります。
又、飼育方法によっては病気になることもあります。

どんな子にも 病気になる可能性はある。
でも、大切な家族なら 病気になったからと手放したりはしないと思います。

リスクがある子をお迎えするのは避けたい。
先々大変そうだから。
いろんな考えがあって当然だと思います。

でも、
FIVという病気について
しっかり向き合い 理解して頂ければ 決して恐れることはないと思います。

猫エイズ・・という名前で 確かに 身構えてしまうと思いますが

FIVキャリアというだけで 猫ちゃんを家族として迎え入れる際の 選択肢から外さないで欲しい 実際に会って その子の良さを感じて欲しいと願っています。


ぜひ、
FIVキャリアや その他の病気 障害の有無だけで 選択肢から外さずに
家族をお迎え頂きたいと心より願っております。


とらちゃんは、
人間に翻弄され流転の猫生を歩んでも
決して 人を憎まず心から信じ 人間が大好きで全身で甘え頼って来ます。


そんな とらちゃんの家族を見つけてあげたいです。

最後までお読み下さりありがとうございました。

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