迎え入れた犬がつないだ不思議な縁
レアを迎えられた新井さん
取材・文 金子志緒 撮影 尾崎たまき
左からブブ(オス・6歳)、Yuさん、レア(メス・1歳4か月)、モア(メス・1歳10か月)、Yoさん
連れ帰った日、先頭を切ってわが家へ帰宅
ラブラドール・レトリーバーとフレンチ・ブルドッグの組み合わせはパワフルですね!
Yoさん アウトドアの楽しさに目覚めて、元気なラブラドール・レトリーバー(以下、ラブ)をもう1頭迎えたいと思っていたんです。チワワのココとハルが14歳で亡くなったあと、モアの明るさに元気づけられたことも理由ですね。
里親制度があることを知って、保護犬を迎え入れるつもりで探していました。仕事帰りになんとなくスマートフォンで ペットのおうち®︎ を見たら、モアと同じチョコラブ(チョコレートのラブ)が里親募集に出ていたんですよ。
Yuさん 事情があって手放さざるを得ない飼い主さんの投稿でした。いつか保護犬を迎えようとは思っていましたが、偶然にもこのタイミングでチョコラブ。家族に相談してすぐ応募しようと思ったら、私たちが住んでいる愛知県が募集対象外の地域で......。
そこであきらめずに投稿主の方に問い合わせをしたわけですね。
Yoさん とにかくダメもとで連絡しようと。ブブやモアとの日常を投稿しているSNSも添えて応募したら、飼い主さんから即決の勢いでお返事を届きました。こちらも早く会いたい気持ちだったので、2日後に迎えに行ったくらいです。
Yuさん わが家が犬たちと川遊びやSUP(サップ)を楽しんでいる投稿を見て、「ここなら愛犬を幸せにしてくれる」と決めてくださったと聞きました。今もSNSを介して交流が続いているんですよ。
みなさんとレアはすぐに打ち解けられたのでしょうか?
Yuさん 帰りにパーキングエリアで休憩中に私がトイレから戻ったら、レアはすぐ反応して喜んでくれたんです。出会って1〜2時間しか経っていないのに、家族として受け入れてくれたんだと思って感動しましたね。それを見た夫が「おれもトイレに行ってくる!」と言い出して(笑)。
Yoさん 私が戻ったときにもレアは喜んでいたので、ちゃんと認識されていることがわかって安心しました。
Yuさん なんとなく新しい家庭に行くことがわかっていたのかもしれませんね。帰宅してから家に入れる前に近所を散歩したんですが、帰り道では先頭を切ってピューッと自宅へ一直線だったんですよ。全然迷わなかったのが不思議でした。
ラブはフレンドリーな犬が多いというイメージどおりですね。
Yoさん 私たちのことはすぐ新しい飼い主として認めてくれたようでした。でも最初はなでようとすると避けたり、隣にいるときもおしりだけくっつけてみたりと、遠慮がちなところもありましたね。
Yuさん 最近になって私のひざにあごを乗せて寝るようになったんです。子どもたちともおやつの効果もあって仲良くしています(笑)。久しぶりに会った友人には「来たときよりも表情がやさしくなった」と言われて、ちょっとずつ変わってきているのかなと思ってうれしくなりました。
うちの子に似ていると思っていたら異母姉妹!
そういえば、レアとモアとよく似ていますよね。
Yoさん 私たちもびっくりしたんですが、異母姉妹だったんですよ!2頭とも会った瞬間から仲良し。家に連れ帰って「今日からここがレアちゃんのおうちです」とドアを開けたら、モアがさっそく出迎えてくれてすぐ打ち解けました。もしかしてレアとモアは姉妹だとわかっていたのかなと思います。
Yuさん 「どうりで似ているはずだよね」と盛り上がりました。前の飼い主さんからレアをお迎えし、2か月後くらいに血統書を送っていただいて初めてわかったことですから。
レアは譲渡時に生後10か月だったそうですが、もっと幼いころに迎えたモアとの違いを感じましたか?
Yoさん 子犬から育てたうちの子たちと比べて何の違和感もありませんでした。むしろすぐ遊びに連れて行けたのでよかったと思ったくらいです。
Yuさん 来たときからいたずらも全然しないんですよ。3か月からわが家で育てたモアは、ちょっと目を離すといたずらするのに(笑)。
Yoさん おとなしいなと思ったら、家具やスリッパとかいろいろなものを破壊していますから。
Yuさん 最初は「レアちゃん」と呼んでも来なかったこともありましたが、今はしっぽを振ってきてくれるようになりました。毎日の生活を通して、変化や成長を見られるのも里親の醍醐味だと思います。
ドッグランで遊ぶレアとお友だち
元気に遊んでいる姿から、かなり活発な一面も見られますね。
Yoさん レアはボールがすごく好き。朝起きて目が合うとボールをくわえて待ち構えていますよ。ただ、家族が忙しいときは察して離れているけれど、家事や仕事が終わってソファに座ると、すぐボールを持ってきて目の前にポトンと落として待っている。そこから延々とボール投げが続くんです。
Yuさん ドッグランでいろいろなお友達と遊ぶようになってから、ボールの楽しさを覚えたのかな?
Yoさん ボールに対して執着するから、「アウト」の指示で放してくれないこともあるんですよね。わが家に来てからしばらくは控えめな態度でしたが、猫をかぶっていたのかもしれません(笑)。
里親や保護犬だからといって特別なことはない
レアが加わってから、趣味のアウトドアの楽しみが増えたのではないでしょうか。
Yoさん 2024年10月に迎え入れたので、寒くなる前に急いで川遊びに連れて行きました。レアは川遊びの経験がなかったようですが、モアと一緒に楽しんでいましたよ。
Yuさん 2頭は本当に仲良くて、いつも賑やかに遊んだりくっついて寝たりしています。
小柄なブブは2頭に圧倒されているかと思いきや、がんばっているようですね。
Yoさん ブブはなわばり意識が強いけれど、レアが来てから1週間くらいで遊べるようになりました。レアはモアのことは目上とわかっていて、遊ぶときにも遠慮のようなものがあるかな。ブブのことはちょっとからかっているような感じです。
Yuさん 体重はレアが23kg、モアが22.5kg、ブブが15kgです。じつは見た目の体格の違いほど体重差がないんですよ。
Yoさん ブブはレアとモアにワンプロ(犬同士のプロレスのこと)で鍛えられて、体型が明らかに変わったね......。
Yuさん 筋肉ムキムキになったよね。1年前はスマートな体型だったのに、今は逆三角形のすごいボディに変わっちゃってる(笑)。
これから愛犬と一緒にやってみたいことがあれば教えていただけますか?
Yoさん 縁があって出会ったブブとモアとレアと、楽しく暮らすことが一番ですね。夏は川や湖でSUPや水遊びを、秋になったらトレッキング、冬になったらスノーボードにスノートレッキングを楽しみたいと思っています。機会があればカニクロスにも挑戦したいと思っています。じつはこの取材の前日にもトレッキングに行ったんですよ。うちの子たちは余裕で登っていたけれど、妻が......。
Yuさん 15分歩いただけでゼエゼエハアハアと大変でした。毎日散歩で1時間歩いていますが、平地を歩くのとは違いますね。ブブを見習って私も鍛えないとダメかもしれません(笑)。秋のトレッキングに向けて体力づくりが目標です。
Yoさん こうやって話していると、里親や保護犬といっても特別なことは何もないなと思いました。
Yuさん これから保護動物の里親になることを検討している方も、気負わずに迎え入れてほしいですね。
撮影協力:いちご狩り&ブルーベリー狩り フルーツループ
https://www.oregonfarm.jp
取材・文 金子志緒 撮影 尾崎たまき