家族の真ん中にはいつも愛犬がいる

カイリーを迎えられたMさん

約3年前に ペットのおうち®︎ でカイリーを迎えられたMさん。保護犬を家族として迎え入れたストーリーをおうかがいしてきました。 ※年齢や情報は取材時。

取材・文 金子志緒 撮影 尾崎たまき

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左からCさん、Sさん、Mさんとカイリー(オス・3歳)

耳が大きく彫りが深いことが決め手!

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里親募集をしていたカイリーを迎えた理由をうかがえますか?

Mさん ペットのおうち®︎ を見ていたときに、生後4か月になる子犬が目に留まったんです。よく見たら掲載期限まで2〜3日しかない。もし里親が見つからなかったらどうなってしまうのか心配になって問い合わせたら、譲渡されるまで殺処分されることはないと。しかも掲載期限を少し延ばしてくれたようでした。

3頭のきょうだいの中で1頭だけ残っていると聞き、さっそく家族に相談したところ、次男のSが「耳が大きくてかわいい。こういう顔、好きかも!」と気に入ったので迎えることに決めました。

Sさん 耳が大きいのも好きになったけど、なんか正直そうに見えたから。顔つきがしっかりしていてめっちゃいい。他の犬より彫りが深いところもいいなって思いました。

Mさん 彫りが深いって、犬なのに? 私も初めて聞きました(笑)。子犬のころのカイリーは耳が大きかったけど、顔と体が成長した今はちょうどいいですね。

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ペットのおうち®︎ に掲載された生後4か月ごろのカイリー

耳の大きさが決め手になったのは意外でした! 実際に会ったときの印象を教えてください。

Mさん 初めて会ったときから私たちにはすぐ懐いてくれました。野犬のような風貌ですが、保健所で生まれてすぐ保護団体に引き取られ、施設のみなさんや他の犬猫と過ごしたから人に慣れていたようです。迎え入れてからも私たちにくっついてきてベタベタでしたね。初めての場所で新しい家族に甘えておかないと、という本能だったのかな。かわいい!とみんな夢中になりました。Sは連れ帰った日から一緒に寝たいと言って、クレートを自分の部屋に持ち込んだくらいです。

Sさん 犬のしつけ本を読んだら、クレートで寝かせるといいと書いてあったから。でも家に来たばかりのころは夜に鳴いたりすることがあって、僕が寝る前に寝かしつけないといけないのがちょっと大変でした。毎朝5時にはクレートをガリガリ引っかく音で起こされたり(笑)。でも学校に行く前にたくさん散歩に行かれたから、すぐ仲良くなれたんだと思います。

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だからSさんにとても懐いているんですね。まるで兄弟みたいに見えます。

Mさん よく「おれがお兄ちゃんだ」って言うもんね。トレーニングはSが担当して、シット、スピン、ジャンプ、プレイデッド(ゴロンと死んだふり)とか教えたんですよ。カイリーは成長時の推定体重は23kgの中型犬だったんですが、すくすく育って28kgの大型犬に。思ったより大きくなったけれど、家の周りにはクマやイノシシが出るから番犬としてはちょうどいいサイズですね。

Sさん カイリーが大きくなったから、張り合えたりできるところがよかったと思います。遊ぶときとか本気でレスリングができるし。

Mさん 息子たちがカイリーと同等に遊んでいるのを見ていると笑っちゃう。カイリーはSと一緒に走るだけでも楽しくなってくるようで、飛びついてじゃれ合っているんですよ。カイリーが家族の真ん中にいてくれるから、中学生と高校生になった息子たちとも話が弾みます。

次の命をつなぐために保護犬を選んだ

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最初に犬を迎えようと思ったきっかけを教えていただけますか?

Mさん 私が人生で一度は犬と暮らしてみたいなと思っていたからです。ちょうど群馬県に引っ越すことにしたので、自然が豊かな場所で犬とのびのび過ごせたらいいなと。夫のCがアメリカにいたころ保護施設から犬を引き取って飼っていたこともあり、「保護犬を迎えたいね」と相談していました。

引っ越し後に迎えるつもりで譲渡の問い合わせをしたものの、タイミングが合う犬がなかなか見つけられなくて......。しびれを切らした夫が、ペットショップで一目ぼれした柴犬を飼うことに決めちゃったんです。

アメリカでも柴犬は人気ですから、Cさんも惹かれたのかもしれませんね。

Mさん 驚きましたけど、私と息子たちにとっては初めての愛犬だからやっぱりかわいい。誕生日がさそり座なのとしっぽの先が白くて目立っていたので、私がスコーピアスと名付けたくらいです。でも群馬県での暮らしに慣れたころ、スコピーが亡くなってしまいました。

とても悲しかったけれど、やはり犬がいない暮らしは寂しいですよね。私は今度こそ保護犬を迎えることで、次の命をつなげられると思いました。それで家族と相談して ペットのおうち®︎ で出会ったカイリーを迎えたわけです。今ではみんなで溺愛していますよ。

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カイリーという名前にも由来や思い入れがあるのでしょうか。

Mさん じつはSが「万が一はぐれても戻ってきてくれるように、『ブーメラン』っていう名前にしよう」と言い出したんです。アイデアはとてもいいと思いましたが、呼び名は絶対に「ブーちゃん」になっちゃうじゃないですか。太りそうな名前なので、もうちょっとかっこいい名前がいいなと(笑)。それでオーストラリアの先住民・アボリジニの言葉でブーメランを意味する「カイリー」と名付けました。

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カイリーもスコーピアスと同じようにしっぽの先が白いですね。他にも共通点は?

Mさん 2頭ともすごくかわいいこと(笑)。でもスコピーはツンデレでかまいすぎるとウーッとうなることもありましたが、カイリーは家族にマッサージを催促するほどベタベタです。人の気持ちをよくわかってくれて、私や夫がスコピーのことを思い出して涙ぐんだときには、いきなり走り寄って飛びついてきたことも! ちゃんと慰めてくれているんだとうれしくなりました。

一つの命を迎えたら想定外のことも楽しんで

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カイリーとの楽しい暮らしをうかがいましたが、大変なこともありましたか?

Mさん 子犬のころは本当にやんちゃで、スリッパをいくつもダメにされたし、ソファの足もかじられてガジガジ(笑)。飲み込んでしまうのが心配で、家具の配置や下に置くものには気をつけるようになりました。

3歳になってだいぶ落ち着いたけれど、今もかまってほしいときには靴下やスリッパを持ってきてわざわざ見せに来るんですよ。特にSが追いかけてくるのをわかっているから、「ほら、靴下を持っているよ、こっち来い!」と誘うんですよ。

いたずらまで楽しいエピソードになりますね。保護犬は懐きにくい、という先入観を覆される方もいると思いました。

Mさん ヤキモチなのか遊びなのかわからないけれど、夫が私に触りながらわざと「I'm touching her(ママを触っているよ)」と言うと、それを聞きつけたカイリーがダダダッと来て夫を噛むんですよ。仲間に入れてほしいのか、「何をやっているんだ?」とでも言うように膝や肘を甘噛みします。レスリングや追いかけっこの毎日で、私から見れば4人の子どもがじゃれているみたいで微笑ましいですね。

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ご家族でお出かけも楽しんでいるとうかがいました。

Mさん 群馬は海なし県なので、海で一緒に遊んだときは楽しかったですね。キャンプに行ったときにはテントに4人のスリーピングバッグを並べて、カイリーが誰を選ぶのかと盛り上がりました。住んでいるところは雪国だから雪遊びも毎年楽しんでいます。

Sさん 犬と一緒に遊べるスキー場に行ってみたいし、カイリーとスノボを滑りたい。

Mさん 犬と出かけると距離が縮まりますよね。ただ、カイリーはビビリなところもあるので、みんなで楽しめるところを選ぶようにしています。譲渡の際には子どもにも懐くという説明を受けましたが、うちの子は大丈夫でも他の子どもを怖がることがあって......。息子たちが苦手にさせてしまったのではないかと心配になりましたが、成長すると警戒心が出てくるという話を聞きました。

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時間とともに変わることもありますよね。これから保護犬を迎えようと思っている方に伝えたいことはありますか?

Mさん 保護ペットに限らず、一つの命としっかり向き合える時間をもつことが大切だと思います。私たちも夫の一目ぼれで飼い始めたスコピーのために、家族で犬の飼い方を勉強しました。カイリーは事前に家族と相談したとはいえ、推定体重より大きくなったり怖がりの一面も出てきたりしたときに、「かわいい」だけで何も考えずに迎えていたらきっと困ったと思うんです。想定外のことがあるのは当たり前ということを前提に、責任をもって迎え入れてほしいですね。私たちのように楽しい毎日が待っています!

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取材・文 金子志緒 撮影 尾崎たまき

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