能登猫救出大作戦 決行中

「私がやるしかない」行政から傷病の猫や成猫を保護

ペットのおうち®︎ スタッフがシェルター「ボランティア ねこ活」(宮城県)に行ってみた!

ペットのおうち®︎ スタッフは、宮城県白石市で活動する「ボランティア ねこ活」のシェルターを訪問いたしました。 行政からの保護を活動の中心とし、里親が見つかりづらい成猫や傷病猫に新しい家族を見つけられるような環境作りに励んでいらっしゃる「ボランティア ねこ活」。 今回は、ねこ活 代表の佐藤さんに保護活動の様子や苦労などをお話しいただきました。

取材・文 スタジオダンク

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縁もゆかりもない土地で始めた「ねこ活」

ペットのおうち まずは活動の原点からお伺いしていきたいのですが、佐藤さんはどのようなきっかけで猫の保護活動を始められましたか?

佐藤さん もともとは出身の岩手県で、野良猫を個人で保護して、無償で知り合いに譲るような活動をしていました。結婚を機に宮城県白石市に引っ越して来たとき、発情している野良猫たちがすごくたくさんいたことに衝撃を受けました。散歩をしていると河原に10匹野良猫がたむろしているということが当たり前だったんですね。これはまずいと思って、捕獲機を使って野良猫を保護したのが宮城での最初の活動です。

しかし、宮城は縁もゆかりもない土地で、知り合いもいなかったので譲渡ができず、盛岡の知り合いにわざわざ譲渡しに行くなどと大変でした。長年の経験で個人での活動だとなかなか注目してもらえない、団体として名前があることが必要だと感じていたので、協力者を作って譲渡ができない状態をどうにかするために保護団体を始めることを決意しました。

ペットのおうち まずは協力者、保護団体のメンバーを探されますよね。どうやって探されたのでしょうか?

佐藤さん 最初はジモティーというサービスでメンバーを募集しました。利益を目的に集まってきた人もいたのでそこは見極めが必要だったのですが、SNSを通じてやる気のある人だったり、友人やすでに私から猫を譲渡された人だったりが集まってくださって、ねこ活が始まりました。

ペットのおうち 信頼できる方々と共に活動を始められたことが、ねこ活さんの大きな第一歩となったのですね。

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ねこ活さんの保護シェルター。窓際で気持ちよさそうに日向ぼっこをしています。

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脱走防止のため、シェルターの窓や出入り口には柵が設けられています

地域猫が存在してこそのTNR

ペットのおうち ねこ活さんは野良猫の保護やTNR活動ではなく、動物愛護センターなどの行政からの引き出しを中心に活動されていますが、何かご理由があるのでしょうか。

佐藤さん 最初は野良猫を保護していたのですが、この地域では、飼い猫も野良猫も区別なく、外で自由に過ごしていることが大半なんです。野良猫だと思ってTNR(捕獲器などで野良猫を捕獲(Trap)し、不妊・去勢手術(Neuter)を行い、元の場所に戻す(Return)こと)をしたら実は飼い猫だったなんてことが起きることを考えると、外にいる子を飼い主のいない猫と断定するのは難しいと思いましたし、警察署でも同じようなことを言われて、行政からの引き出しを中心に活動することにしました。

ペットのおうち TNRに対する考え方は地域や各保護団体さんによって変わるところではありますよね。

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インタビュー中も愛想を振りまいてくれた佐藤さんの飼い猫ごまこ

佐藤さん そもそも私はTNRは地域住民がみんなで責任もって管理する地域猫活動があってこそやれることだと思っています。リリースをした先に地域で管理されて、可愛がられているならまだいい。でも、そうではないのならリリースされず、保護されて里親が見つかることが一番幸せな生き方だと思うんです。どの子も1回きりの命なので。猫を増やさないという目的はもちろん分かるのですが、子猫は保護するのに成猫は譲渡できないからリリースするということに人間側の意図を感じてしまったんです。

さらに、保健所からの引き出しに加え、愛護センターからの引き出しを始めてまもなく、愛護センターから成猫を引き出す人がいないということも分かりました。成猫の保護に携わる人がとても少ないことに気づいてからは、愛護センターからの成猫の引き出しに特に力を入れています。

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治療中のくぅ

愛護センターに「いるだけで危ない子」を率先して保護

ペットのおうち TNR活動の難しさを感じられたことが、ねこ活さんの保護活動の方針を変えることになったのですね。愛護センターには、里親が見つかりづらい子たちも多くいると伺います。引き出す猫はどのような基準で決めているのでしょうか。

佐藤さん 愛護センターでは譲渡できない子と譲渡できる子が分けられます。譲渡できない子はそもそも避妊去勢手術をしていないのが前提で、その子たちには殺処分の期限があります。そして春や秋の子猫が入ってくる時期になると、譲渡できる子たちも殺処分の枠に入れられてしまう。だから「いるだけで危ない子」と言われます。私たちは殺処分の期限が早く来てしまう子や「いるだけで危ない子」、交通事故で治療が必要な子などを中心に引き出しています。保健所や愛護センターでは治療はしてもらえないので行政からの引き出しは私がやるしかないと思いました。

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ペットのおうち ペットのおうち®︎ では子猫の里親がどんどん決まっていく一方で、成猫は里親が決まりづらい印象があります。ねこ活さんは成猫を中心に保護されていますが、どのような課題やご苦労がありますか。

佐藤さん そうですね。子猫10匹は比較的簡単に里親を探すことができますが、成猫はそうではありません。成猫を中心に保護している私たちは、子猫を中心に保護している団体と比べるとこれまでの譲渡数が少ないのですが、私たちの譲渡数だけを見て、活動を頑張っていない団体なのかと思われてしまうことがあって、それは悲しいし悔しいです。

ペットのおうち 成猫や傷病猫など、里親が見つかりづらいペットを多く保護している保護活動者を知ってもらうためにはどうしたらいいのか、私たちも頭を悩ませています。

佐藤さん 譲渡会はどうしても、名前が売れないと人が集まらないですよね。ねこ活は子猫を保護していないので、なおさらです。とにかくねこ活という団体を知っていただいて、出会いの機会を創出しなければならないので、今回 ペットのおうち®︎ さんからこのようなお声がけをいただいたことはとてもありがたかったですね。今保護している子たちを里親に出すことで新しい子を助けられる。そうした循環を作っていきたいと思っています。

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保護している猫たち1匹1匹の治療や食事、体調について細かく記してあるファイルを見せていただきました。佐藤さんの猫たちへの愛情が詰まっています。

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取材・文 スタジオダンク

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