2頭の保護犬と一緒に成長する
そあらを迎えられた横山さん
取材・文 スタジオダンク

横山英雄さん、奈々さん、そあら(左)、はんな(右)
想定より早く訪れた大型犬の多頭飼い
はんなを迎えてから1ヶ月ほど後にそあらを迎えられたそうですね。どのような経緯があったのでしょうか?
奈々さん はんなはもともと、お世辞にも「犬の幸せを考えている」とは言えないようなブリーダーのところにいた繁殖犬で、私が勤めている犬の保護施設に保護されてきた子でした。お世話をするうちに優しくてマイペースで人懐こいところに惹かれ、家族になりたいと思うようになりました。休日に一緒にお出かけをしたり、旅行をしたりして、少しずつ仲良くなってからお迎えしました。

はんな(右)
犬の保護施設でお仕事をされているのですね。
奈々さん 事情があって手放す飼い主さんや多頭飼育崩壊、廃業したブリーダーなどから犬たちを保護して新しい里親を探します。保護だけではなく老犬ホームとしての役割など、いろいろな活動をしています。
どのような思いでお仕事をされているのでしょうか?
奈々さん 子どもの頃から犬が大好きで、動物に関わる仕事をする中で保護に携わるようになりました。譲渡活動を続けていると、飼い主と離れてしまう子だったり、虐待を受けている子だったり、さまざまな事情で保護されてくる子が後を断ちません。そんな子を1頭でも多く幸せにしたいという思いはずっと変わらないです。

そあら
そあらは、はんなと同時に探していたわけではなかったのですね。
英雄さん はい、はんなをお迎えしてからは特にトラブル等はなく、2頭の先住猫とも自然に馴染んでくれて安心しました。ただ、保護施設では常に他の犬たちに囲まれて遊んでいたのですが、我が家に来てからはすっかり落ち着いてしまい......。ご飯の時間以外は1日中まったりと寝ている姿を見て、このままではボケてしまうのではないかと、とても心配になったんです。もともとふたりで「いつかは多頭飼いをしたいね」と話していたので、すぐにはんなと友達になれるような子を迎えることに決めました。
2頭目はどのような条件で探されたのでしょうか?
奈々さん 私は子どもの頃にゴールデンレトリーバーを飼っていたことがありましたが、多頭飼いは経験がありませんでした。ですので飼育したことのあるレトリーバーに絞った上で、先住猫が2頭いるため、動くもので興奮しない、他の犬とも仲良くできる性格の子を条件に探したところ出会えたのがそあらでした。はんなと気が合うかどうか面会して、すぐに仲良くなったので、お迎えすることに決めました。
そあらは横山さんのところに来る前はどのような環境で暮らしていたのでしょうか?
英雄さん 個人宅で飼われていた子でした。とても可愛がって大事にされていたようなのですが、ご家庭の事情でやむをえずお留守番の時間が長くなってしまったそうです。まだ若いこともあって1日中ハウスの中にいるとどうしてもストレスが溜まってしまう、ストレスが溜まると問題行動も起こってしまうので、そあらの幸せを考えて手放すことを決められたと伺いました。応募者がとても多く、飼い主さんもとても悩まれている様子でした。そんな中で私たちを選んでくださったことはとても嬉しく、ありがたかったです。

そあら
今でも元の飼い主さんとはやり取りをされているんでしょうか?
奈々さん そうですね、今でも月に1回くらいは写真や動画を送ったりしています。お迎えした当初はかなり頻繁に、どういう状態かということをお伝えしていました。元の飼い主さんもそあらの様子を気にされていましたし、そあらと接する中でわからないことがあったときはこちらからも質問させていただいていました。
犬も友達ができると若々しくなる
実際にそあらを迎えてからは順調でしたか?
英雄さん 最初はすごくよそよそしかったんです。呼んだら近くには来るのですがずっと大人しくて、距離を取っているように感じました。お互いのことをよく知らなかったですし、様子見をしていたんでしょうね。1,2ヶ月経つと慣れてきたのか、ちょっとずつわがままや主張が出てきたり、自分から近寄ってきてくれたりするようになりました。今ではのびのびと、自分の素を出してくれることがとても嬉しいです。
やはり心を開くまでには少し時間が必要なのですね。
奈々さん そうですね、お散歩の最中に止まってしまうなど、そあらが何を考えているのか分からないこともありました。元の飼い主さんとの生活のルーティーンもあったでしょうし、前の家のことを思い出しているのかなと想像していました。分からないことがあったときは前の飼い主さんにすぐに質問できたので、とてもありがたかったです。
そあらを迎えてから、はんなに変化は見られましたか?
奈々さん 見違えるように変わって、若返りましたね。今ではどちらが年上かわからないくらいです。同じ犬の友達ができることはとても大きなことなんだと改めて感じました。

はんな(左)、そあら(右)
他にも何か変化や成長を感じたことはありますか?
英雄さん そあらはドッグランでの遊び方もよく知らなかったみたいなので、初めて連れていったときは犬見知りをして、興奮して吠えてしまうような状態でした。最初のうちはドッグランに行ってもはんなと2匹だけで遊んでいましたね。犬というよりも人が好きで、飼い主さんに挨拶回りをしていることも多かったです(笑)。ですが最近は少しずつ他のわんちゃんたちとも遊ぶようになってきたので、良い方向に向かっていると感じます。

そあら
他にも何か変化や成長を感じたことはありますか?
保護犬とペットショップの子たちの違いを感じることはありますか?
奈々さん 成犬になっているから可愛さが劣るとか、性格がもう決まっているから成長しないとか、そういったことはなく、成犬でもとても可愛いですし、社会化期を過ぎていても成長していく子も多くいます。はんなやそあらの子犬時代を一緒に過ごすことができなかったことは寂しく感じることもありますが、はんなやそあらのこれからの生活を幸せなものにできるということはとても嬉しいことですし、思い入れや愛情も深くなるように感じます。
英雄さん 成犬は性格がある程度わかっているからこそ、何か問題があったときに解決するべき方法を見つけやすいという利点もあるかなと思います。
そあらを迎えてご自身の変化もあったのでしょうか?
英雄さん 大型犬を飼ったことがなかったので、どのように接したら良いのか最初は不安が大きかったです。だからこそ何かイタズラをした時の指導の仕方など、自分の行動を振り返るようになりました。
奈々さん 犬への伝え方をずっと調べているよね(笑)。
英雄さん そうだね(笑)。インターネットですごく調べてしまいます。情報がたくさんあるので取捨選択は大切ですが、そあらはこんな性格だからこの指導方法が良さそう、などと考えて実践しています。

最後に、保護犬を迎えようか迷われている方に向けて、どんなことを伝えたいですか?
英雄さん お迎えする前のイメージトレーニングがとても大切です。犬と一緒に暮らすと、時間やお金がかかることはもちろん、休日などに行ける場所も変わってきます。自分の生活の細かい部分や犬の性格まで考慮した上で、本当にその子のことを引き取れるのか改めて検討していただきたいです。飼った後に、想定とギャップがあって再度里親を探すことになってしまったらとても悲しいことですから。
奈々さん 子犬から飼う場合と違って、成犬やシニア犬を迎えるというのは勇気のいることだと思います。ですが子犬じゃなくても本当に可愛いですし、一緒に成長していける良さが保護犬にはあると思います。子犬から迎えることにこだわらずに、たくさんの人に保護犬を視野に入れてほしいと思います。

取材・文 スタジオダンク