- 登場ペット:
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引っ越した時、家の周りには11匹くらいの野良猫がいました。
大人の猫が4匹
仔猫が7匹くらい。
仔猫のお父さんだろうトラ猫が、仔猫の面倒をよく見ていました。
時折来るカラスを追いやり
大人の雄猫が来ると追い返し
時には仔猫の毛づくろいをし
時には丸まって温めあっていました。
仔猫に与えた餌は
仔猫が食べ終えるまで、お父さん猫は
じっと見守っていて
仔猫が食べ終わると
その残りをなめとっていました。
仔猫は、人が来ると
警戒して逃げましたが
そのお父さん猫は
すりすりと甘えてきます。
そうやって
餌をあげると
仔猫たちに餌を譲るのです。
でも
悲劇は次々と仔猫たちに襲ってきます。
何匹かは
車に轢かれ
何匹かは
栄養が足りなくて衰弱して
いつの間にか来なくなりました。
でも
不思議なことに居なくなる一日前
窓をのぞき込み、アイコンタクトをして去っていくのです。
眼を細め
シパシパと目を瞬かせ
そうして姿を見なくなるのです。
そんなある日
玄関に不思議なものが置いてあるようになりました。
それは
腐ったバナナの皮だったり
カエルの死骸だったり
そういったことが繰り返されたある日
私はふと漏らしました
「お花が好きなんだよね~」
只の独り言でした。
その時傍にいた野良猫の一匹が
じっと私を見ていたのが不思議でした。
その翌日
玄関の前に
小さな椿の花が置かれていたのです。
あぁこれは
この猫たちからのプレゼントだったんだって
気が付きました。
私は野良猫たちをそっと見守り
ご飯とお水とちょっとだけ休める場所を作るだけにしました。
人間が勝手に思っているような
そんな世界ではなく
猫たちには猫たちの世界があり
それを介入するのはどうなんだろうって
思っていたからなんです。
野良猫に餌を与えるなんてとか
野良猫は増えるから
捕まえて避妊や去勢をしないなら
罪になる
とか
そういう意見もあります。
でも
私の見ていた
この5年の間
猫たちは
この自然の中で、お互いのテリトリーのルールを守り
人間に不要に近づかず
悪さをするでもなく
静かにそこに共存していました。
地域の住民も
ひそかに、家の端っこに猫用のお皿をだして
餌をあげてもいました。
だけど
結局
寒さと、栄養不足と、カラスやテンの襲撃や
人間の車に轢かれて
どんどんと数が少なくなっていきました。
仔猫が歩き出す頃
カラスは空を飛んで様子を見ては
頃合いのいいころ
仔猫を捉えに来ます。
弱った猫を捕らえに来ます。
テンもイタチも・・・。
そして
人間の撒いた殺虫剤や、農薬、洗剤のかかった残飯を食べて
体調を崩してしまいます。
そして
恩返しをしてくれていた猫たちも
最後の一匹を残して
みんな虹の橋を渡って行ってしまいました。
私は畑も持っていますが
その畑で、バッタを捕まえて食べていた猫たち
スズメを追い払ってくれていた猫たち
ヘビが出て
怖がっていた私の目の前で
栄養不足で欠けた歯で
ヘビを食いちぎって守ってくれた猫たち。
その子たちのしてくれたことを
残したくて
このペットログに書いています。
ありがとうと感謝を込めて。