• 別れ
  • 2015年06月18日 | view 23,580
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いつだって死はすぐ傍にある

クロが白血病だと判明したのは2015年3月。
もともと口内炎があり、また、3月に入ってから食事をした後に必ず吐くようになったため、
取り急ぎ抜歯をしてもらおうと病院につれていったことで判明した。

前夜の3月5日の夜。ばんざいをするようにしてうつ伏せで眠るクロ。
なんとなく様子がおかしい気がする。

3月6日の病院にて、その旨を告げて検査。
胸水が溜まっている。白血病。

2012年10月に拾った時から下痢をしていたので、別の病院で検査を受けたときは何も感染していないと言われたのに。

延命治療は嫌だと思っても、胸に水が溜れば窒息死してしまうということを聞き、
とりあえず抗がん剤治療をすることにした。

病院でのクロは大人しい。医者にも看護師さんにも抵抗しない。
我慢強い。そして人間を信頼している猫だった。

その日、胸水を抜いてもらい、「絶対安静だから今日は入院」といわれた。

入院はさせたくない。甘えん坊なクロ。夫のことが大好きなクロ。
言葉も通じない。「明日迎えにくるからね」と言っても通じない、そんな猫を入院させる気にはなれなかった。

面会した時のクロは「何で泣いてるの?帰る?帰る?」と一生懸命顔をなめてきた。

「連れて帰ります」
泣きながら言った。

連れて帰ってきて、みんなと布団で眠るクロ。やっぱり連れて帰ってきてよかった。

抗がん剤治療を1度行ったが、酷い下痢。1時間に1回起きてトイレに向かい、血便。嘔吐。
これが1週間続いた。

「免疫をあげなければ」と「コルディM」というサプリメントを与え始める。
あとはいつもの日常。
ウチの猫たちは水はよく飲むので、脱水症状は大丈夫だった。

癌にいいというビタミンCのサプリメントも追加で注文。


ずいぶんよくなってきたと感じた1ヶ月。
しかし4月末にふたたび食事を吐き始める。

5月2日。再び抗がん剤治療を1度おこなった。もう効くかはわからない。
続けて行うことは3月のクロでも体力的に無理だった。

そして抗がん剤治療3日後の夜から苦しみだす。
5月5日。
息が荒い。何がおこっているのかわからない。
3日目ごろから効果がでるはず、といわれたのに、3日目夜から苦しみだしている。

副作用?フラフラで歩けない。貧血?水も飲まない。

翌日5月6日病院へ。
胸水は溜まっていないが、心臓周りの腫瘍が大きくなっている。
衰弱しているのであと1日か2日の命。

その日の夜から元気になり始める。貧血の症状がひいたのか水も飲み始める。

「なんだ。大丈夫じゃないか。やっぱり副作用だったんだ」

しかし食事はしない。
流動食の療法食を強制給仕。強く嫌がらないが、美味しくもなさそうだ。
便が出ない。何度かきばるが、出ない。
みんなと一緒に台所にくる。餌のまえにも座る。だけど食べない。
生魚も焼き魚も鶏肉もペースト状のおやつも食べなくなってしまった。

食べたい?食べたくない?

話せないのがもどかしい。


それでも時間は穏やかに過ぎた。少しずつ良くなっているように見えた。
吐かないし、水もよく飲んでいる。呼吸も荒くない。

排泄を促す為にサプリメントを購入。なぜもっと早く気づかなかったのか。
すぐに届いてほしい。

5月10日。肌寒い日曜日。
クロを包むようにして一緒に眠る。満足そう。ゴロゴロいっているしお腹を見せている。何時間も一緒にそうやって眠った。

クロは夫のことが大好きだったが、夜眠るときは必ず私の枕を一緒に使って眠った。

5月11日。少し元気が無い。目がうつろ。昨日までのようにリラックスしている感じがしない。しんどいのか。フンは出ないまま。

5月12日朝。やはり大人しい。ほとんど動かない。
まさか大丈夫だろう。息は速くない。
クロは朝はあまり見送りに来ない。朝ごはんを食べてすぐ寝てしまう。
だけどこの日はチョコンと玄関がギリギリ見える辺りに座ってこちらを見ていた。

玄関で靴をはいたが、なんとなく後ろ髪をひかれ、もう一度クロを撫でにいく。
「おねーちゃん早く帰ってくるからね。クロちゃん。おりこうにしててね」

18:30帰宅。
クロが迎えにきていない。
玄関入って右を見れば奥の部屋のマットレスでいつもクロは寝ている。


いない。


あれ?もしかして?
「クロちゃん?」
奥の部屋に駆け寄る。

窓のそばにクロが横たわっていた。よく見ると息をしていない。
窓際においてある飲み水が少しこぼれていた。
まだ少し温かい。やわらかい。
苦しんだ様子ではない。
目は自然な感じで開き。口は閉じている。
外を眺めているいつものクロのようだ。

でも確実に心臓は動いていない。

臨終の時、無理に動かしたりしてはいけない。
臨終に差し障る。


クロちゃん。
おねーちゃん、クロちゃんと10年は一緒にいられると思っていたよ。
当たり前のように、クロちゃんいると思っていたよ。
クロちゃんの前にも、何匹もの臨終を見てきたけど、クロちゃん一人でいっちゃったね。

他の猫たち、気づいてくれたのかな?最後寂しくなかった?
「あれ?」ってなったのかな。

胸水も溜まっていなかった。今朝は息も速くなかった。水も飲んでいた。
なのに心臓は止まった。
遺体を見ても黄疸は出ていなかった。
でも少し足をばたばたしちゃったかな。水がこぼれてたもんね。

わからない。

3日後の5月15日。動物を火葬してくれるところへ夫と連れて行き、火葬。骨壷にもいれてもらい、帰ってきた。

もうそこにクロはいない。
焼かれる遺体はあってもクロの魂はもうそこにはない。
分かっていても涙がでた。

クロちゃん何処にいるの?寂しくしていない?真っ暗な道を歩いていない?
華が空から降ってくるような、素敵な音楽が流れているような、そんな場所に辿り着いたのかな?


猫に癒される、じゃなくて、
人間が猫を癒す、それを心がけて一緒に暮らしてきた。
猫たちが「幸せだ~」と感じてもらえるように、愛情不足にならないように、後悔しないように、猫たちがもどかしさを感じないように、
心をこめて生活を一緒にしてきたつもりだった。

でもやはり後悔は残る。
まだまだ出来てないことが沢山あった。
きっとやらなくてよかったこともある。
猫は言葉をしゃべれないから。
「吐き気がする」「頭がいたい」「後で食べるから」「お腹が痛い」
何も言えない。

何がベストの選択だったのか、
ベストの選択ができていたのか、
クロちゃんじゃないとわからない。

クロちゃん。今どこら辺にいるのかな。楽しくしているのかな。
もうどこかで新しい人生をはじめたかな。次は人間かな。

クロちゃん。
おねーちゃんは虹の橋の話では気を紛らわせられないんだ。

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