• 保護活動
  • 2018年03月15日 | view 29,251
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倉敷の職員さん達の熱き挑戦!

私が倉敷保健所にボランティアとして初めて足を踏み入れたのは2014年の1月でした。約4年、倉敷保健所に通いながら、職員さん達の取り組みを近くで拝見してまいりました。
倉敷は複数の野犬地区があり、私の愛犬Edもその野犬地区で保護された倉敷保健所出身です。
収容頭数の大半が野犬。都会では信じられないでしょうけれど、中型サイズの人に飼われたことのない犬が野山で群れを成して知恵を働かせ、人目をしのぎ、でも餌を分けて頂きつつ生きているのです。
狂犬病予防法がありますので、敷地外で係留されていない犬は行政が保護しなくてはなりません。愛護法が整ってきて大きく犬を傷つける捕獲は禁じられており、主な捕獲方法は捕獲機を設置して餌で釣るというやり方です。でも餌を頂いていきている彼らはなかなか捕獲機に入りません。もちろん、職員さん達は地元の無責任な餌やりをやめて頂くべく指導に入られています。シーズンになると、一夫多妻制?の野犬の群れ、イケメン?ボスの奥方たちが次々にご出産となり、あっという間に群には新しい命が10頭以上。職員さん達は、子犬が目につくと全頭保護を目標に動かれます。野犬はフィラリア予防をしていませんので、平均寿命は5年程度。子犬を保護していくことで、総数は徐々に減り、倉敷保健所開設時、今から15年前には野犬保護頭数だけでも600頭を超えていたのですが、最近は300頭を切るようになってきています。また、ここ数年処分機に送った収容犬は一頭もいません。処分数があがっているのは、育たなかった乳飲み子であったり、傷病で収容中に命を落としたこであったり、それらも数として殺処分数に入ってしまうからだそうです。
職員さん達の理想、目標は、収容犬猫の全頭が幸せに卒業すること。みんなに家族ができて卒業することです。ボランティア譲渡という制度もあります。ボランティアが譲渡を受け、そこから里親様募集をし、ご縁が見つからない場合終生の飼育を約束するという譲渡契約です。でも、本当のおうちを家族を見つけてあげたい、そういう気持ちで、今現在2か月の収容期間をどのこにも等しく頂き、制限のある中でベストを尽くされます。シャンプー、フロントライン、おなかの駆虫、ワクチン接種、必要に応じて治療、ならし、お散歩練習など、手をかけ、ご縁を探しています。
一頭一頭にカルテがあります。ニックネームをつけ、名札を係留エリアに張り、愛情をこめてお世話されます。倉敷保健所は24時間365日空調が整い一定温度、寒くも暑くもない快適な温度ですが、ご寄付で頂いたブランケットには、職員さんが端ミシンをかけ、犬が切れ端を飲み込まないように気を配って敷かれています。頻繁に洗濯をされ清潔を保っています。時々敷物のないエリアの画像をご覧になって心配される方もおられますが、何らかの理由があります。足元が滑りやすいので、敷物を嫌がる子であったり、たまたまお掃除で床を洗い流している最中であったり・・ですので、ご安心ください。
フードは、一頭一頭の体調に合わせ管理されています。基本的にサイエンスダイエット、ロイヤルカナンの中から、与えられています。「みんなの健康ノート」に記されているアイテムにお薬やサプリ、ヤギミルクなどを加え、成犬は朝と夕の2回、しっかりフードを頂き新鮮なお水も常に与えられています。保健所がお休みの土日祝日もちゃんと係の方が犬舎にお越しになってお世話されています。
また、最近力を入れている取り組みとしては、お散歩練習です。癖のある難しい子は、トレーナーさんの指導を受けて、職員さんが初動から訓練を入れられています。職員さんからGOを頂くと、私達ボランティアも練習に加わります。首輪をつけられてリードをひかれたことのない野犬たちですが、譲渡審査の際、ご家族にお散歩をさせてみて頂いてからの卒業が多くなってきています。
職員さん達は、どの子にも家庭犬になれる可能性があると信じて接しておいでです。今現在の倉敷では人を噛んだからといって処分対象になる子はいません。そういう子には、スイッチのありかを探ったり、トレーナーさんにご指導いただいたり、またその子と本当に向き合っていける方を選んでの譲渡を進めています。ひどい皮膚病だからといって、しし罠で足を失ったからといって、処分対象にもしません。できる限りのケアをし、ボランティアと協力し、通院投薬もし、ベストを尽くし、ご縁を探します。目がない乳飲み子が入ると、職員さんが業務終了後バスケットに入れてご自宅に連れ帰り、ミルクを与えて育て、譲渡されたケースもあります。どの子も変わらぬ大切な命、みんな幸せな家庭犬になってほしい、そんな思いがあちこちにあふれています。
倉敷保健所には、お電話での口頭審査の後、お越し頂いてのお見合いと譲渡審査があります。可哀そうというお気持ちだけでは、終生の飼育は難しいということから、実際に触ってみて頂いて、ハンドリングできるか、相性はどうか、見させて頂くのです。トライアル制度もありますし、お迎えいただいた後の相談窓口もあります。卒業犬とご家族が共に幸せになって頂いて初めて譲渡成功ということだと捉え、ハードルが高いといわれますが、ルールを設けているのです。
期限があることで、厳しいことを言われる方々もおられます。特に野犬に関しては、お越しいただけないと譲渡できないといわれ、また実際にお越しいただいても審査が下りないこともありますから、冷たいといわれる方もおられます。でも、私が知る限り、倉敷の職員さん達は、まっすぐに命を繋ぐために前進されていると胸を張って言い切れます。
約2年前に収容期間を2倍にしたことで、犬舎に犬はあふれかえっています。2倍の犬が常にいるわけですから、そうなります。でも、一頭一頭に赤い糸を手繰り寄せるべく、がんばっている倉敷保健所のこと、ボランティアとして誇りに思います。
小さな命を迎えようと考えておられたら、是非、保護っこに目を向けて頂けたらと切に願います。
倉敷保健所は処分を決定する場所ではなく、命を繋ぐ場所だと、知っていただけたらと思います。
もっと保健所にお見合いに来て頂けたらと思います。
私の愛犬も、倉敷保健所出身の元野犬です。私の最高のパートナーです。

写真左 : 2017年冬、交通事故にあった野犬の女の子、みたまちゃんが収容されました。瀕死の重傷。主任さん、副主任さんが寄り添われ、治療をされ、奇跡の快復。そしてお声がかかり、ボランティアのお友達の預かりでの家庭犬へのステップアップ。2018年2月にすてきな家庭犬へ。今、ご家族とお散歩も楽しめています。 

写真中 : 2018年2月に期限を迎え、よいご縁を頂いた、元野犬の女ボスしのぶ子ちゃんと係長さんのお散歩。トレーナーさんから指導を受け、当初威嚇のあったしのぶ子ちゃんを訓練され、従順な家庭犬のように馴らされたのは、係長さんでした。
しのぶ子ちゃんのトレーニング当初の動画です。
https://www.youtube.com/watch?v=vS1qAE8w6Xw
しのぶ子ちゃんの卒業間際のお散歩動画です。
https://www.youtube.com/watch?v=5pfetxzR8Pc

写真右 : ある日の夕ご飯準備風景。みんなの健康ノートの指示に従って、こうやって、一頭一頭にあったフードを準備されます。
右下は、1昨年の譲渡決定の、つね子ちゃんのカルテ。日々のケアの様子が詳細に記され、卒業時に様々な書類とともに飼い主さんに渡されます。

愛犬Edを伴っての保健所お散歩ボランティアのようすです。
譲渡決定した、おと姫ちゃんの場合。
https://www.youtube.com/watch?v=UWUDeBM5RpQ
譲渡決定した、つる介くんの場合。
https://www.youtube.com/watch?v=AHe1EJGuKAg
譲渡決定した、つぶ太くんの場合。
https://www.youtube.com/watch?v=uYJ5r3C33nU

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