- 登場ペット:
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倉敷保健所は全国的に見て野犬収容が大半という珍しい保健所です。野犬ですから、帰るおうちがありません。ゆえに、家族として迎えてくださる方を探す以外に、この子たちの幸せな卒業はありません。
さて、野犬・・人に飼われたことがない子たち・・犬の形をしていますが、そう、たとえるならば狐をペットにするようなもの?
野山で自然恋愛の末生まれ、つまり、強い遺伝子を持つ、賢い子たち。
倉敷保健所の職員さんは人との生活経験のないその子たちを収容期間内に首輪付け、チェーンでの係留など家庭犬へのステップアップを進めてご縁を待っておられます。でも、まだまだ人にしっぽ振って近寄っていくまでには至らないことがほとんど。なので、脱走対策と人馴れ促進の意味から、室内飼育スタートが野犬の譲渡条件の一つになっています。
中型犬を室内飼育?イメージが湧きづらい方もおられると思い、今回は、私の野犬室内飼育レイアウトをご紹介します。
ボランティアとして、そういった野犬を引き出したり預かったりした経験から、わたしは、倉敷保健所での生活スタイルの延長線上で馴らしをスタートしています。係留エリアを定め、そこを居場所と認識してもらいます。首輪とチェーンでの係留になれた子たちなので、そのエリアで落ち着きます。マットなどが好きな子もいますが、足元が滑るので嫌がる子もいます。そのあたりは臨機応変に。バリケンをシェルターとして使うこともありますが、そこに長い時間居座って馴れに支障があると判断した際はバリケンを取り除きます。
そして、トイレシートは係留チェーンの届く範囲で遠めの場所に複数枚敷いておきます。自分の寝床を汚したくない彼らは、保健所でもエリアの前に出てきてトイレをしていますから、この方法でシートを使えるように導きます。トイレ事情については、此方のブログをご参考までに。
http://www.pet-home.jp/petlog/repocg_1/repo19616/
http://www.pet-home.jp/petlog/repocg_1/repo19640/
しかし、最近預かり初日から愛犬Edを伴走につけ外を歩かせるようにしてみますと、お散歩だけでトイレを済ませる場合が多いです。3か月以上の子はトイレの間隔もあいていますので、朝と夕のお散歩だけで十分のようです。
ご飯は係留エリアの前に置いておきますが、私はその際プレイスマット(ランチョンマット)を敷いてご飯の合図としています。そして、愛犬Edは「よし」まで座って待ちますから、それを保護っこにも教えていきます。お皿を手に持ち、保護っこに迫っていくとお皿を見上げるようにしておしりを落とし、自然に座れるようになります。座れたら間髪入れず短くほめ、ご飯をあげる・・その繰り返しです。
私が保護っこを預かる際、気になるのは、お留守番も上手にできるかどうかということです。仕事から帰ってきてお部屋がぐちゃぐちゃとか、留守中鳴き声がご近所の問題になるとか、そういうことがあるとお仕事に集中しづらいので。その点、固まり野犬たちは、エリアにじっとしていることが得意中の得意ですから、今まで帰宅してとんでもないことになっていた・・という経験はありません。もちろん、お目付け役の愛犬Edが目を光らせているからかもしれないですけれど、お互いトラブルを起こすこともなく、静かに過ごせているのも犬社会のルールの入った野犬の魅力かもしれません。
倉敷の野犬をお迎え下さったあるご家族が「猫みたいな犬」といわれていました。トイレを教えなくてもできる、さらっとした付き合いが好き?自分の生活スタイルを保てる・・そんなところが猫に似ているのでしょうか?!
ちなみに、私自身は室内飼育の外せないポイントとして、トイレと匂いの問題があります。トイレは先に書きました通りこの子たちはクリアできるでしょう。匂いは、シャンプーすることで解消しますね?そして、倉敷は収容期間中にシャンプーするようにしていますから、その点もクリアです。またお見合いや譲渡審査にお越しの際に、シャンプーの仕方、注意点などもお伝えできると思います。
こんな隅っこでぶるぶる震えているだけの野犬たちが、少しずつ飼い主をリーダーと認め、心開いていく様は素敵で、スモールステップの一つ一つが一緒に時を重ねていった宝物になるんですよ。
写真左 : 現在馴らしお預かり中の、しらすももちゃん。わたしが外出先から帰宅した際の様子。お部屋まったく汚していません。
写真中 : 数か月前馴らしお預かりした、おまつちゃん改めちゃこちゃんのご飯タイムの様子。
写真右 : 数か月前馴らしお預かりした、はす子ちゃんのトイレの様子。係留エリアの前にシートを敷いておくと、ご覧の通り。