• 保護活動
  • 2018年01月08日 | view 4,588
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ちょっと大きくなった子、成犬をお迎えするということ

倉敷保健所にボランティアとして頻繁に訪問するようになって4年になります。
倉敷は全国的に見ても珍しい、収容犬の大半が人と暮らしたことのない、野犬です。野良犬というのは、私の中では人に飼われていたけれど、迷子になってしまっておうちに帰れなかったり、遺棄されておうちをなくしたりした子たちで、野犬は、そういう親たちから生まれ、人に飼われたことのない犬たちのことをさしています。
さて、年間300頭前後の野犬が収容される倉敷ですが、2017年はとにかく子犬たちがどうしたことかというほど収容されました。子犬とあらば地域の方々の協力を得てとにかく収容。そうしなければその子たちが育ち、また子孫を産み、増えていく可能性が高いからです。
右も左もよくわからない子犬たちは、人にもすぐ馴れてきます。ペットショップの子犬たちとあまり差がないかもしれません。かわいい声で鳴き、遊びに誘ってきて、かまってほしくて、しっぽフリフリです。見ていて飽きないし、本当に心が溶けそうです・・でも、実は、おうちにお連れになって、結構大変だと相談を受けます。保健所では兄弟姉妹、もしくは母犬と一緒にいた子ですが、おうちに入り、仲間がいないと、さびしくて夜鳴きが始まることもあります。また、離乳して間のない子たちは、水便に近く、トイレの回数も頻繁ですから、その管理に時間をとられることでしょう。清潔にしておかないと、匂いもひどくなるでしょうし、皮膚の状態にも影響しかねません。お留守番がほぼないご家庭での飼育がお勧めです。
でも、人をちょっと恐れるようになった3か月以上の子犬たち、成犬は、打って変わって、鳴き声をあげず、忍者のように息をひそめて固まっています。保護直後などは、目も合わせない子も多く、頭や鼻を隅っこに押し付けるようにし、震えています。無理に抱こうとすると、恐怖のあまり下腹に力が入り、お漏らしをしてしまう子もいます。写真などの情報でお見合いにお越しになり、思っていた様子と違うといわれ、キャンセルになることもあります・・。でも、実は、この子たち、おうちに入ると結構飼育しやすい利点もあるのです。
倉敷では、譲渡までにシャンプーや爪切りを済ませ、おなかの駆虫やフロントライン、ワクチンも済ませている場合が多いです。さらに、首輪に馴らし、係留に馴らしています。これはとっても大きなポイントです。ある程度成長した犬たちは自分のエリアをトイレなどで汚したくないので、トイレは係留エリアの前に出てきて済ませ、回数も最低限です。お散歩トレーニングをしている犬によっては、お散歩まで我慢している子たちもいます。野犬は本来とてもきれい好きなのです。ですから、おうちにお連れになって、お部屋の片隅をその子のエリアに定め、係留したなら、トイレの場所はそのエリアの中で係留チェーン(チェーンでないとかみ切って脱走しようとする恐れがあります。)が届く範囲の遠めの場所一体になるはずです。そのあたりにトイレシートを複数枚敷いておけばトイレをしてくれるでしょう。環境が変わって3日ぐらい我慢する子も多いですが、一度にたくさん済ませ、回数は少なめであることが多いです。また男の子でも係留している場合、室内は座ってトイレをするでしょう。
今迄保健所の野犬たちを自分で保護してきた経験から、皆様がお迎えになったとして、室内飼育で気になるのは、匂いとトイレではないかと感じてきました。今は卒業前にほとんどの子たちをシャンプーして送り出していますが、それでも、移動中に粗相などで汚れてしまった子は帰宅後すぐにシャンプーします。トレーナーさんには、お互いの安全のために口輪を使用することも進められています。私は、自宅では薄手のタオルで保定することが多いです。トイレは、上記のような方法でほぼ間違いなく定めることができています。最近は強引に愛犬Edを伴走につけ、初日からお外を歩かせる練習をしていますと、お外に出た際に済ませる子がほとんどで、シートを使う子は少なかったように思います。室内をできるだけきれいに保ちたいのがこの子たちなのです。そんなわけで、コロコロ子犬のように尻尾振ってくれるまでは時間がかかりますが、この子たちは、実のところ、室内飼育しやすいのです。
いつになったら、馴れてくれるだろう・・心配もあるかもしれないですが、固まって人が怖かった子たちが、自分をリーダーと定め、よい関係が築けて来たら、それは何物にも代えがたいはずです。その過程を楽しんでいただけたらと思います。ここ一年ほど、私は、勇気を出してそんな野犬の子たちにも積極的にお散歩をさせるようにしています。お散歩でよい関係作りを前進させることができます。ハンドラーに従順で、歩みを合わして闊歩し、ハンドラーが立ち止まると止まり、歩き始めるとまた一緒に歩き始めてくれる、そんな子になるはずです。

こちら、現在ご縁を待っている、若い野犬のちょう介くん、保健所でのお散歩練習動画です。(譲渡されました。)
https://www.youtube.com/watch?v=0geHcpiCLk8

しっぽフリフリで寄ってくる子たちではないけれど、固まり野犬子犬や、成犬の良さ、知っていただきたくてブログを書きました。今も、なかなかご縁を頂けない野犬の子たちがたくさん収容されています。この子たちに寄り添っていただけるご家族が現れますように。

写真左 : 保健所で固まっていた、おまつちゃん改めちゃこちゃん。収容当初はお顔を隅っこに擦り付けていました。ブランケットも足元が滑るので嫌い、何もかもが怖くて・・でしたが、譲渡決定後、我が家にて約1週間の馴らし、お散歩上手になって、お渡ししました。

ちゃこちゃんの馴らしの様子などは此方に。
http://www.pet-home.jp/petlog/repocg_1/repo19059/

写真中 : 我が家にお預かりして馴らしとお散歩をがんばった、固まり子犬のいい介くん。お部屋の隅っこにマットを敷いて、係留しています。このお写真はご飯の時だから、ご飯が前に並んでいますが、その前にトイレシート。ご飯を片付けると、こちらのシートでトイレができるようにしています。

いい介くんの預かりの様子は此方に。
http://www.pet-home.jp/petlog/repocg_1/repo18526/

写真右 : 私が保護犬預かりに使用しているグッズの一部をご紹介。
係留アンカー、1枚が9㌔。中型犬を預かることが多いので、2枚重ねて使用しています。
お散歩用チェーンリード。かみ切られないように、チェーンで、ダブル首輪、ダブルリードからのスタートです。

影でご紹介の、預かりわんこ、おまつちゃん改めちゃこちゃんのお散歩練習の動画。
どうです?!保健所での固まり野犬だったこのこ、引き出しから2日目でここまできました!
https://www.youtube.com/watch?v=LoEMndkO2zg


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